とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼687号「山の花・ホタルブクロ」

【概略】
ホタルブクロは漢字で書けば蛍袋。昔、子どもたちがこの花をちょ
うちんにみたて、中にホタルを入れて遊んだという。そういえば日
本各地に「チョウチンバナ」という方言があります。江戸時代の本
には釣鐘草の名で書かれているそうです。
・キキョウ科ホタルブクロ属の多年草

▼687号「山の花・ホタルブクロ」

【本文】
バスから降りて林道を歩きます。やがて砂利道になり山肌に落石防
止の金網が目立ちます。山靴の砂利を踏む音。前方に目指す山頂が
あらわれました。

ふと上を見るといまが盛りのホタルブクロの花が登山者を見送って
います。ホタルブクロは漢字で書けば、「蛍袋」。昔、地方の子ども
たちが、この花の中にホタルを入れてちょうちんがわりにして遊ん
だので、こんな名前がついたのだそうです。

そのため、日本のあちらこちらに「チョウチンバナ」という方言が
あるそうです。ホタルブクロの花は、白い色または淡い紫色で、釣
り鐘のような形の花が下向きに咲きます。

江戸時代、いまから310年も前に出版された『花壇綱目(かだんこ
うもく)』という本にも、「釣鐘草」という名前で出ています。がく
筒(とう)は、子房といっしょになって、がく片は5枚で披針形で
す。その間に付属片がそり返っています。

山に生えるヤマホタルブクロはそのそり返る付属品がなく、紅紫色
でもっと濃い色をしています。こんなホタルブクロも人間は食べて
しまいます。

若葉、花をゆでてゴマ和え、辛子和え、油いために、おひたし、揚
げ物、汁の実、酢みそ和え。花は三杯酢がよいときたもんだ。まさ
に花よりだんご、ホタルブクロより胃袋なのであります。

この花の蜜をねらって訪れるのはマルハナバチというハチ。この花
の形ではチョウの口では蜜まで伸ばすことはできません。またホタ
ルブクロのおしべは花が開いたとき、めしべの中ほどの毛におしべ
の花粉をつけてしぼんでしまいます。

花が開いたところにハナバチが筒にすっぽりおさまって蜜を吸いま
す。その時、背中がちょうどめしべの中ほどになり、花粉をつけた
ハチが飛び去ります。

そして開花して数日たった花では、めしべがすでに長く伸びて受粉
の準備完了。そこへ別の花の花粉を背負ったハチが来るというわけ
です。

このようにおしべとめしべの成熟に時間差をあるのは、同じ花の花
粉で受粉するのを防ぐための仕組みだという。

また花には赤と白とピンクの3種類の花があります。西日本では白
が多く関東では3つとも見られます。ピンクは雑種なのか別種なの
かよく分かっていないのだそうです。
・キキョウ科ホタルブクロ属の多年草

【花言葉】
・忠実・正義

【参考】
・「朝日新聞」05年6月17日35面
・「植物の世界・2」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物・1」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「日本大百科全書・21」(小学館)1990年(平成2)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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