とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼686号 「奈良県伯母子岳一本足の怪人・一本ダタラ」

【概略】
猟師に捕らえられた妖怪は願い出た。「人の命をとらなければ喰う
ものがありません。ハテノハツカだけは人の命を貰いたい」との希
望に、猟師は「一日くらいなら」と許してやったという。そのため
ハテノハツカ(12月20日)には山へ入ってはならぬという。
・奈良県十津川村と野迫川村との境

▼686号 「奈良県伯母子岳一本足の怪人・一本ダタラ」

【本文】
高野山から熊野本宮への熊野古道小辺路途上にある伯母子岳には、
一本足の妖怪がすんでいて、美しい女に化けて通る旅人を襲って食
べるという。

ある時、高野山ろくの猟師が妖怪の女に出会いました。鉄砲を撃っ
ても弾を手で受け止めてしまう。そこで高野山神の教えどおり弾を
2つ撃ちました。化け物は後から飛んでくる弾に気がつかず命中し
てしまいました。

「助けて」と命乞いする化け物に「人の命をとらなければ助けてや
る」というと、「全然とらなければ喰うものがありません。せめて
ハテノハツカだけは」。

猟師は「一日くらいならいいだろ」と許してやりました。そのため
今でもハテノハツカ(十二月二十日)には山へ入ってはならぬとい
う。

ある年の4月、朝からの小雨が伯母子岳山頂で雪に変わり積もりだ
すしまつ。仕方なく伯母子峠に建つ避難小屋で「雪宿り」。その日
は三浦峠手前の掘っ建て小屋の中にテントを張りました。

床が抜け動物のすみかのよう。雨と泥の汚い姿。タヌキやキツネに
は妖怪に見えたかも知れません。

・伯母子岳【データ】
【山名・異名・由来】
・夫婦岳と同種だが、山容が女性的でやさしいので、伯母とその子
に擬した山名(「日本山岳ルーツ大辞典」などの説がある。

【所在地】
・奈良県吉野郡十津川村と奈良県吉野郡野迫川村(のせがわむら)
との境。南海鉄道高野線高野駅の南南東18キロ。南海鉄道高野山駅
からバス千住院前下車、歩いてのべ9時間30分で伯母子岳。写真測
量による標高点(1344m)がある。そのほか付近に何もなし。山頂
直下に避難小屋がある。地形図上には山名と標高点の標高のみ記載
あり。標高点より東方向直線約470mに避難小屋、東方向直線約630
mに伯母子峠がある。

【名山】
・深田クラブ選定「日本二百名山」(第184番選定):日本百名山以
外に100山を加えたもの・日本三百名山にも含まれる。

【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・【伯母子岳標高点】緯度経度:北緯34度04分38.63秒、東経135度3
9分2.58秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「伯母子岳(和歌山)」

【山行】
・第5日目:2004年(平成16)4月4日(日・雨)伯母子岳探訪:
2004年(平成16)3月31日(水)〜4月9日(金)「京都駅・吉野・
青根ヶ峰・蜻蛉の滝・大滝バス停・大和上市駅・吉野口駅乗り換え
・五条駅乗り換え・極楽橋駅・高野山奥ノ院・薄峠・熊野古道小辺
路・萱小屋跡・五百瀬・十津川温泉・熊野ワクワクの郷キャンプ場
・熊野大社・新宮駅・那智の滝・新宮駅・名古屋駅」:「吉野・金峰
山・蜻蛉の滝・高野山・小辺路・熊野神宮・那智の滝縦走」家内と
同行

【参考】
・「山びとの記」木の国果無山脈(宇江敏勝)(中公新書)1980年(昭
和55)
・「日本伝説大系9・南近畿」(三重・奈良・大阪・和歌山)渡邊省
吾ほか(みずうみ書房)1984年(昭和59)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

山旅イラスト【ひとり画通信】題名一覧へ戻る
………………………………………………………………………………………………
「峠と花と地蔵さんと…」トップページ【戻る】