山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼679号 「奥多摩のオオカミ伝説」

【概略】
かつて山深かった奥多摩地方にはさまざまなオオカミ伝説が残って
います。御岳神社の神使がフンをした話。百発百中の名人猟師は、
実はオオカミの乳で育ったとか、オオカミが谷に落とした鹿を拾う
ことを「オオカミ落とし」といい、思わぬ獲物を得た話など興味あ
る話ばかりです。

▼679号 「奥多摩のオオカミ伝説」

【本文】
東京都奥多摩地方には各地にオオカミ伝説が残っています。また青
梅市御岳山の御岳神社のお使いはオオカミだそうです。

その昔、御岳神社の御師(おし)が信徒の家に行った時、御師のあ
とをついてきたオオカミが信徒の家の庭先にフンをしたという話が
伝わっています。見るとアケビのタネがたくさん混ざっていたとい
います。

また、檜原村では畑を荒らしたオオカミを鉄砲で撃ち殺したところ、
撃たれたオオカミは子持ちの母親でまだ乳が出たという。それを飲
んだので育ったのが禎次郎という人。

のちに百発百中の名人猟師に成長し、93歳まで生きるほどの長寿だ
ったという。1970(昭和45)年代に亡くなったといいます。

昔から「赤ちゃんにオオカミの乳を飲ませると丈夫に育って長生き
をする」といい、オオカミの血が体内に入っているため、目がよく
利きカンがよく働くためだろうと村人はうわさしあったそうです。

鍾乳洞の日原山中では、滝に追い落とした鹿を食べている2匹のオ
オカミに「その鹿をおくんなせえ」と声をかけ、とうとう貰ったと
いう常右衛門さんの話もあります。

またオオカミの骨はかつていわれた「狐つき」の狐を払い落とす呪
いに使われたそうです。

▼【データ】
【所在地】
・東京都奥多摩地方 JR青梅線・五日市線

【参考】
・「奥多摩風土記」大館勇吉著(武蔵野郷土史研究会)1975年(昭
和50)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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