山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼664号 「熊野古道小辺路・三浦五百瀬の巨杉」

【概略】
石畳の坂から植林のなかを登っていくと、突然、こりゃ何だ。曲が
りくねった枝の巨杉が古道を横切ってならんでいる。樹齢数百年の
巨木はここに住んでいた吉村家の防風林のなごりだとか。屋敷跡に
は石垣も残っている。幹に手をまわしてみたり耳をつけてみたり。
・奈良県十津川村

▼664号 「熊野古道小辺路・三浦五百瀬の巨杉」

【本文】
熊野古道の中でも中辺路(なかへじ)は和歌山県高野山から奈良に
入り、再び和歌山県熊野本宮に抜ける参詣道。水ヶ峰、伯母子岳、
三浦峠、果無峠など1000m以上の山や峠を越えていく険しい道。

そのなかほどの十津川村五百瀬は「太平記」巻第五の「大塔宮熊野
落ちの事」の舞台。いまでも護良親王の腰掛け岩や家来・村上義光
(むらかみよしてる)にちなむ腰抜田などの伝承が残っています。

4月の初め、高野山から入り伯母子岳に着くころは雨から雪に変わ
り積もり出すしまつ。それでも花の季節、五百瀬への下りは満開の
ヤマザクラが迎えてくれました。

再び降り出す冷たい雨。三浦口バス停からまた山道に入ります。石
畳の坂から植林のなかを登っていきます。

突然、こりゃ何だ。曲がりくねった枝の巨杉が古道を横切ってなら
んでいます。樹齢数百年、もとここにあった吉村さんという家の防
風林だったとか。石垣のあとも残っています。

幹に手をまわしてみたり耳をつけてみたり。気がつけば大分時間も
まわりぎみ、あわててテント場予定地に急ぎました。

・五百瀬巨杉
【所在地】
・奈良県吉野郡十津川村五百瀬。JR和歌山線五条駅から奈良交通
バス上野地下車、十津川村営バス乗り換え、三浦口停留所下車歩い
て20分で巨杉。地形図に地名標高ともに記載なし。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【五百瀬巨杉】緯度経度:北緯34度01分41.2秒、東経135度42
分26.73秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「伯母子岳(和歌山)」

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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