とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚
【ひとり画通信】

▼655号 「奥多摩・戸倉三山刈寄山今熊山の行方不明探索神」

【概略】
安閑天皇東行の時、妃が行方不明に。しかし神のお告げで今熊山に
祈願、妃の名前を呼んだところ発見できた。以来この山は人捜し、
行方不明者を見つけてくれる神として信仰を集めたという。以前は
時々、神隠しや人さらいでいなくなった子供の名前を呼ぶ母親の声
が聞こえてきたという。・東京都八王子市

▼655号 「奥多摩・戸倉三山刈寄山今熊山の行方不明探索神」

【本文】
▼山旅漫歩゚【ひとり画点通信】655号(04・08)
「奥多摩・戸倉三山刈寄山今熊山の行方不明探索神」
【本文】
『日本書紀』の記述によると、第27代天皇に安閑天皇(あんかん
てんのう)という天皇がいます。安閑天皇は在位531〜535(古墳
時代)とあり、また在位2年で没とする文献もあり、なにやらい
わくがありそうです。皇居は勾金橋宮(まがりのかなはしのみや
・いまの奈良県橿原(かしはら)市曲川(まがりがわ)町)にあ
ったという。

この天皇が、東行の時、妃の橘仲皇女(たちばなのなかつひめみ
こ)が浪花路で(『日本歴史地名大系13・東京都の地名』)、また奈
良県笠縫(かさぬい)の祠に御参籠熊野宮に渡った時、大風雨に
わかに起った時ともいいます。とにかくその時、妃が行方不明なっ
てしまったという。しかし、安閑天皇の妃は春日山田皇女であり、
橘仲皇女は第28代宣化天皇の皇后(『世界大百科事典・21』)であ
るのでこの記述は間違いらしい。

ま、それはともかく、妃が行方不明になり大騒ぎになっていたあ
る夜、天皇の夢枕に丹生大神(にうたいじん)(和歌山県伊都郡か
つらぎ町上天野にある丹生都比売神社の神)が立ち、「武蔵国今熊
山に詣で、祈願すれば妃の居所はわかる」とのお告げがありまし
た。早速勅使(ちょくし)(天皇の命令書を持ったお使い)が八王
子にやって来て、山頂の社のまわりを3回まわって祈願し、妃の
名前を大声で呼んだところ無事発見できたという伝説があります。

以来この山は「呼ばわり山」と呼ばれ、人捜し、行方不明者を見
つけてくれる神として信仰を集めたといいます。この神は人間だ
けでなくなくした物を見つけたい時、山彦がこだまするほど大声
で「呼ばわる」と帰ってくるといいます。以前は時々、神隠しや
人さらいでいなくなった子供の名前を呼ぶ母親の声が聞こえてき
たそうです。

山頂で大声で叫ぶのは誘拐犯に子供を帰せと迫っているわけです。
山宮裏の石碑にある天狗の文字や里宮にうちわの紋章があるのは、
その犯人を天狗としているのでしょうか。この山はまた、子供を
親元から「呼ばわって」連れてきてしまう山との意味もあるとい
います。神が誘拐するとは、あな恐ろしや。

そもそも山頂の社殿は、ふもとの正福寺(しょうふくじ)の重円
和尚が1364年(貞治3)、熊野本宮を勧請して造営したのにはじ
まるといいます。南北朝時代の北朝貞治(じょうじ)3年、南朝
正平19年(1364)に、別当寺(神社の経営管理を行った寺)であ
る正福寺が社殿を造営しました。そして今熊野山社権現としていま
したが、1868年(明治元)神仏分離令によって、いまのような今
熊神社と改称しました。

・今熊山【データ】いまくまやま 
【所在地】
・東京都八王子市。五日市線武蔵五日市駅南西3キロ。五日市線武
蔵五日市駅からバス今熊バス停で下車、歩いて1時間で今熊山(い
まぐまやま)。写真測量による標高点(505m)と、今熊神社の奥宮
がある。山頂直下に今熊神社がある。地形図上には神社名と標高点
の標高と建物記号のみ記載。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【標高点】緯度経度:北緯35度42分38.48秒、東経139度12分57.41


【地図】
・2万5千分の1地形図「五日市(東京)」

【山行】
・第1日目:2004年(平成16)6月5日(土・晴れ)今熊山探訪:
2004年(平成16)6月4日(土)〜5日(日)「武蔵五日市駅・今
熊神社・今熊山・刈寄山・市道山和田峠分岐・醍醐丸・生藤・甘草
水・石盾神社バス停・上野原駅」:「奥多摩今熊山・刈寄山・市道山
・生藤山」

【参考】
・「今熊神社看板から」
・「角川日本地名大辞典13・東京都」北原進(角川書店)1978年(昭
和53年)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「日本歴史地名大系13・東京都の地名」(平凡社)2002年(平成14)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

 

 

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