とよだ 時・山の伝承民俗画
山旅イラスト【ひとり画通信】(ひとり画展)

▼645号 「野山の花・真っ赤に咲くクサボケの花」

【概略】
クサボケは草木瓜と書き、一見草のようなのでつけられた名前。日
本固有種だという。花弁が5枚で円形。花に雄花と雌花の別がある。
丸い果実はシドミと呼ばれ秋に黄色に熟す。子どものころ近くの林
を駆けまわり遊びながら、酸っぱく渋い果実をかじったっけ。

▼645号 「野山の花・真っ赤に咲くクサボケの花」

【本文】
クサボケは草木瓜と書き、ボケに比べて小さく、草のようなのでつ
けられた名前だそうです。ボケは木瓜(もっか)がなまってモケに
なり、さらにボケに転化したといいます。ノボケ・コボケという名
もあります。クサボケは日本固有種だといいます。

4月〜5月、美しい朱赤色の花を咲かせ、花弁は5枚で円形です。
花に雄花と雌花の別があり、雌花の下位子房はふくらんでいますが、
雄花のほうはやせています。雄しべは多数あります。

神奈川県の丹沢・表尾根の三ノ塔近くにある明るい雑木林の中の登
山道にもクサボケが真っ赤なかわいい花を咲かせます。

そこを通るたび顔にかかる枯れ枝に木をとられ、うっかり踏みつけ
そうになります。登山者みんなに大事にされているらしく、道の真
ん中にも堂々と咲いています。

クサボケの果実はゆがんだ丸い形で、秋、黄色に熟します。シドミ
(?・?子)とか、梨のようで地面近くになるのでジナシともいい、
そのままでは酸っぱくて食べられません。

そのため、焼酎づけにしたり、塩づけ、砂糖づけにして利用します。
とくに信州では秋になると「地梨踏み」といい野原を歩きまわって
地梨探しをする習慣があったそうです。

かつては同じ長野県の諏訪地方では祭りに地梨屋の出店が出て、塩
漬けの地梨を売っていたそうです。また果実は生薬名を和木瓜とい
い、果実酒(ボケ酒)をつくって、整腸、低皿圧、暑気あたりに使
用したり、利尿剤として、脚気などに用いるそうです。

そういえば子どものころ、近くの林を駆けまわり遊びながら、よく
酸っぱい果実をかじった思い出があります。ところでクサボケの花
びらも食べられるそうです。

ただ、花びらを口のなかに入れるとシパシパし、あごの裏側にペッ
タリとくっつき、どうも食べづらいようです。
・バラ科ボケ属の落葉小低木

【データ】
【名前】:草木瓜。シドミ・ノボケ・コボケ・ジナシともいう。信
州では地梨と呼んだ。名前はクサボケだが草ではなく低木。

【葉・花・果実】:4月〜5月、美しい朱赤色の花を咲かせる。花
弁は5枚。雌雄異花。雌性花ではくびれがある。雄しべ多数。花び
らは食べられる。果実は地梨といい、秋、2〜5センチの黄色い実
をつける。果実はゆがんだ球形でシドミ(?・?子)、地梨という。

【利用・薬用】:塩漬け・焼酎漬け、また果実酒などに用いられる。
果実は生薬名を和木瓜といい、果実酒(ボケ酒)をつくり、整腸、
低血圧、暑気あたりなどに用いる。また利尿剤、脚気その他に用い
る。

【花言葉・句歌】:草木瓜の花ざかりなり火の山の低きに下りて畳
まる白雲(島木赤彦)。土ふかくしどみは花をちりばめぬ(軽部烏
頭子)

【参考】
・「世界の植物・5」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「植物の世界・5」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「日本大百科全書・7」(小学館)1986年(昭和61)
・「ふるさとを感じるあそび事典」山田卓三編(農文協)1998年(平
成10)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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