とよだ 時・山の伝承民俗画
山旅イラスト【ひとり画通信】(ひとり画展)

▼644号 「埼玉奥武蔵・3つのピーク蕨山」

【概略】
蕨山は1044mの本峰と1033mの展望台のピークの双頭峰。本峰は展
望がないため、日光連山など一望できる標高が低い展望台はいつも
満員。そこでいつしか展望台が正式な蕨山になってしまい、本峰と
の分岐には指導標の矢印が、展望台にも「蕨山、標高1044m」との
標識が建っている。
・埼玉県飯能市

▼644号 「埼玉奥武蔵・3つのピーク蕨山」

【本文】
埼玉県奥武蔵に蕨山という1000mちょっとの山があります。蕨山の
付近の尾根は雑木林が美しく、ワラビがたくさん出るところからそ
の名があるという。

また、蕨山のワラビは「藁の火」の意味で、焚き材に藁(茅)を用
いたからなどの説があります。

蕨山は1044mの本峰と、北麓名郷から登ってくる尾根道との合流点
1033m地点、そしてもうひとつ展望台のあるピークがあります。本
峰は展望がなくイマイチの感。また合流点1033m地点も展望はあり
ません。

そんなことから浅間山・妙義山・赤城山・日光連山など一望できる
標高が低い方の展望台はいつも人がいます。

人気というのは恐ろしいもので、いつしか展望台が蕨山になってし
まい、本峰との分岐点1033m地点には展望台方面への指導標の矢印
が建ち、坂を上った東寄りの展望台のピークにも「蕨山、標高1044
m」(1044mは西側にある本峰)との標識までが建っています。

ホームページのどのサイトもこの標識は評判が悪く、中には怒って
いるものまであります。(同じように3つのピークがあり、山頂が
混乱しているものに奥多摩三頭山があります)。

暮れも押し詰まったある日、南東の麓・名栗湖入口「さわらびの湯」
龍泉寺から歩き出し、金毘羅山、藤棚山経由で蕨山を訪れました。
小休止をしていると背負子に赤ちゃんを背負った若いお父さんがわ
きを通り過ぎます。

展望台は急坂の上にあります。そこへ現れた自転車の集団、所々、
岩のある坂の下見をしています。リーダーらしき若者がニコニコと
挨拶。そのハンドル裁きをしばらく見物したあと、展望台に登った
ら大勢のハイカーが休んでいます。

なかには中高年の人たちが車座になって鍋を囲んでいます。最高点
の本峰や、分岐点の1033m点には人影もありません。やはり高いだ
けでは仕方ないようです。

ちなみに登山口にある龍泉寺には竜神伝説があり、むかしから「有
間谷の雨乞い寺」として知られ、東京・浅草や日野市、神奈川県厚
木市などからもお水を貰いにきていたそうです。

・【データ】蕨山(わらびやま)
【山名由来】ワラビがよく出る山。焚き物が不足し、わらで煮炊き
や暖をとったことによる。

【所在地】
・埼玉県飯能市(旧入間郡名栗村)。西武池袋線飯能駅の北西18キ
ロ。西武池袋線飯能駅からバス名郷下車、さらに歩いて2時間20分
で蕨山本峰。写真測量による標高点(1044m)がある。そのほか付
近に何もなし。地形図上には本峰の山名と標高点の標高のみ記載。
本峰より東方向直線約105mに展望台がある(地形図にはなにも記
入なし)。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【展望台】緯度経度:北緯35度53分47.84秒、東経139度07分
59.1秒
・【本峰標高点】緯度経度:北緯35度53分46.7秒、東経139度07分
55.2秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「武蔵日原(東京)」or「原市場(東京)」(2
図葉名と重なる)

【山行】
・日帰り:2003年12月13日(土曜日・晴れ)奥武蔵蕨山探訪:「西
武池袋駅・飯能駅・川又・名栗湖入り口下車・さわらびの湯入り口
・金比羅神社・大ヨケノ頭・・藤棚山・蕨山展望台・名郷バス停・
飯能駅・池袋駅・秋葉原駅・下総中山駅」:「奥武蔵・蕨山」家内と
同行

【参考】
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)
・「ものがたり奥武蔵」神山弘ほか(金曜堂出版部)1984年(昭和5
9)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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