とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼639号 「野山の食卓・甘いフユイチゴ」

【概略】
日だまりハイクで見つけるフユイチゴ。これも甘く食べられる。こ
れもキイチゴの仲間だという。昔はイチゴというとキイチゴのこと
だったがいまはふつう食べているイチゴ(オランダイチゴ)をいっ
ている。草になっているクサイチゴもキイチゴだという。
・バラ科キイチゴ属の常緑つる性小低木

▼639号 「野山の食卓・甘いフユイチゴ」

【本文】
冬の低山を歩いているとフユイチゴの赤い実を見つけます。甘いの
で摘みとってモグモグ食べはじめます。これもキイチゴの仲間です。

昔はイチゴというとキイチゴをいいましたが、いまふつう食べてい
るイチゴ(オランダイチゴ)をいっているようです。

江戸時代も末期の天保年間(1830年代)、オランダ人によってはじ
めて日本にもたらされたとき、あまり大きいので「オランダイチゴ」
といってわざわざ区別していたそうです。イチゴにはオランダイチ
ゴと、木になるキイチゴがあるわけですね。

黄色いのでキイチゴ?イヤ赤くてもキイチゴです。草になるクサイ
チゴというものもありますが、これもキイチゴと呼ぶそうです。そ
の中で冬に熟して食べられるのがフユイチゴ。

フユイチゴの茎は直立またはななめにあがり、高さ20〜30センチく
らい。全体に曲がった短い毛が生えて、トゲはありません。花は白
く枝先に5〜10個、7月から11月ごろまで咲きます。花弁は5個、
長さ7〜9ミリ、がく片より少し長くなっています。

果物のない冬に実がなって熟して食べられるためか、鹿児島県甑島
(こしきじま)には「親孝行イチゴ」という方言があるそうです。
昔の人は道ばたに生えるキイチゴまで大切に食べていたことが分か
ります。

同じフユイチゴでも山に生えるのはミヤマフユイチゴ(深山冬苺)
です。また、葉が丸いマルバフユイチゴ(丸葉冬苺)はコバノフユ
イチゴ(木葉の冬苺)ともいい、葉がフユイチゴより小さく、先が
丸く両面に白い毛が密集しています。

フユという名前のくせに春に花を咲かせ、果実が夏から初秋に熟す
というからだまされます。どれも食べられます。フユイチゴのある
道は、私たちの祖先が昔から歩いた道なのだそうです。
・バラ科キイチゴ属の常緑つる性小低木

【参考】
・「植物の世界・5」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物・5」(朝日新聞社)1976年(昭和51)
・「日本大百科全書・20」(小学館)1990年(平成2)
・「日本の樹木」(山と渓谷社)1988年(昭和63)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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