山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼622号「山の石仏・修那羅山のささやき様」

【概略】
その響きから人気をよんでいる修那羅峠の「ささやき神」。しかし
この石仏は笹を持っていて違和感がある。その意味は笹焼きで、野
焼きや山焼きを意味するのだという。野焼き、つまり春にはい出る
虫の卵を焼く、害虫駆除の神さまだっただ。そういえば形がいかに
も葉虫のような姿をしている。
・長野県筑北村と青木村との境

▼622号「山の石仏・修那羅山のささやき様」

【本文】
500体近いユニークな石神・石仏がならぶ修那羅峠。修那羅と書い
てショナラと読んでいます。この石仏群は江戸時代末から明治にか
けての作で、峠近くにある安宮神社を創建した修那羅大天武命の門
人たちの作だとされています。

大天武命は9歳の時から、各地を修行、1855(安政2)年にこの地
に来たという。それから亡くなるまでの13年の間に、たくさんの門
人を集め、当時あったという870以上の石仏群を造ったという謎の
石仏です。

石仏には、催促金神、御手鎌持神、コンコンさまなど奇妙な名前が
ついていて、なかでも「ささやきさま」は、その響きから人気をよ
んでいます。

しかしこの石仏は笹を持っていて違和感があります。ささやきは、
笹焼きで野焼きや山焼きを意味するのだといいます。

野焼き、つまり春にはい出る虫の卵を焼く、害虫駆除の神さまだっ
たのです。そういえば形がいかにも葉虫のような姿をしています。

▼修那羅峠【データ】
【山名】・しょならとうげ、しゅなら
・【異名、由来】:などの説がある。
修那羅峠・シュ・ショ・シュウは湿原のこと、山麓に湿原のある山
の峠(「日本山岳ルーツ大辞典」)

【所在地】
・長野県東筑摩郡筑北村(旧東筑摩郡坂井村)と小県郡長野県青木
村との堺。長野新幹線上田駅からバス四方下車15分で修那羅山。地
形図に地名「修那羅峠・しゅならのルビ」のみ記載。峠より北西方
503mに安宮神社がある。

【ご利益】安宮神社
・五穀豊穣祈願・家内安全祈願・交通安全祈願・就職祈願・方位除
け・子授け祈顧・養蚕祈願・病気平癒祈願・商売繁昌祈・災難祈除
・虫加持(虫封じ)・鼠除け祈願・安産祈願・就学祈願・金神除け
・命名

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【修那羅峠】緯度経度:北緯36度24分15.77秒、東経138度06分04.
46秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「信濃西条(長野)」

【参考】
・パンフ「安宮神社縁起」(安宮神社)
・「信州の石仏」(文一総合出版)1980年(昭和55)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「日本発見 石仏紀行」(暁教育図書)1980年(昭和55)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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