とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼620号 「中ア・木曽御嶽のコマクサ」

・【概略】
昔、御嶽山で登山中の行者が激しい腹痛に襲われた。行者が一心
に「般若経」を唱えているとライチョウがあらわれ、コマクサの
所に案内された。行者が花を口にしたとたん腹痛がやんでいた。
こうして霊薬「お百草」は白衣の行者たちによって知られていっ
た。
・ケシ科コマクサ属の多年草

▼620号 「中ア・木曽御嶽のコマクサ」

【本文】
高山の風当たりの強い砂れき地にポツンと生えるコマクサは、他
の植物をよせつけない場所に生えるため、高山植物の女王といわ
れています。

この草からつくる薬「お百草」は、霊薬として木曽御嶽の名物に
なっています。むかし、修行中の行者が御嶽山に登っていました。
突然おこる激しい腹痛。行者は一心に「般若経」を唱えました。

するとあらわれた1羽のライチョウ。行者を案内するような身振
りです。田の原付近まで来たとき、ライチョウが大きな木の枝に
羽を休めました。ふと行者の目にとまったコマクサの花。

その花を口にした行者は、激しい腹痛がやんでいるのに気がつき
ました。このような効き目あらたかな薬草は、世の中に知らせる
べきだ。

こうして霊薬「お百草」は白衣の行者たちによって知られていっ
たということです。

コマクサの花はピンクで下向きに咲き、細長い形は「駒草」の名
前の由来どおりの馬ヅラです。高山植物ながら高い山ならどこに
でもというわけではなく、南アルプス、中央アルプスにはないと
いう。

北アルプスでも槍ケ岳や穂高連峰にはなく、生える山でも個体数
が少ないのでそれだけに見つけた登山者の間に歓声があがります。

コマクサにはジセントリンやプロトビンなどのアルカロイドが含
まれていて、実際に健胃効果、鎮痛効果があるといい、乱獲のせ
いか、いまは絶域寸前。「お百草」も現在では代用品「キハダ」に
とってかわっているそうです。

コマクサは7〜8月が花期。花茎は5センチから大きくてもせい
ぜい15センチ。花の長さが2センチというかわいさです。ピン
クで細長く花弁は4個で外側の2個は先がふくらみ、本当に馬の
鼻面のようです。

やがて外側の花弁の先はそり返りますが、内側の2個は先がくっ
ついたまま。葉はパセリのように細かく裂け、全体に粉がふいた
ように白っぽく、すべて地面から生える根生葉。北海道、本州の
中部、北部の高山に分布しています。

白い花を咲かせる「シロバナコマクサ」というのもあるそうです。
・ケシ科コマクサ属の多年草

★【データ】
御嶽【所在地】
・長野県木曽郡王滝村。JR中央本線木曽福島駅からバス、田の
原終点下車。御岳観光センター、田の原山荘。御岳避難小屋があ
る。地形図に観光センターと山荘、避難小屋と独立建物記号の記
載あり。バス停より南東270mに三笠山神社と三笠山の三角点(225
6.1m)がある。

【位置】
・田の原バス停:【緯度経度】北緯35度52分19.7秒、東経137度30
分07.15秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検
索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「御嶽山(飯田)」or「御岳高原(飯田)」(2
図葉名と重なる)(国土地理院「地図閲覧サービス」から検索)。

【山行】木曽駒ヶ岳・麦草岳・木曽御嶽・蓼科山
・第5日::1992年(平成4)9月8日(火・快晴)木曽御嶽田
の原探訪:1992年(平成4)9月4日(金)〜10日(木)「新宿駅
・駒ヶ根駅・千畳敷・木曽駒ヶ岳・濃ヶ池・麦草岳・上松駅・木
曽福島駅・田の原・木曽御嶽山八合目石室・王滝口頂上・剣ヶ峰
・飛騨頂上・三ノ池・田の原・木曽福島駅・茅野駅・親湯入口・
蓼科山・親湯入口・茅野駅・新宿駅」:単独行

【参考文献】
・「植物の世界・8」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物」(朝日新聞社)1977年(昭和52)
・「続・植物と神話」近藤米吉編著(雪華社)1976年(昭和51)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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