とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼601号「山の花・サギソウ」

・【前文】
シラサギが舞い降りるような優雅な花サギソウ。昔、離別した兄を
捜しに越後へ旅立った娘が、自分がシラサギの姿になっているを見
て驚きなげきました。そのころ越後の弓の名人の若者が、見たこと
もない白い鳥を見つけ矢を放ちました。鳥の落ちた場所には足に傷
を負った娘がいました。ふたりは兄妹だったことが分かり喜び合い
ました。見るとまわり一面サギソウの花が咲いていました。サギソ
ウは黄泉の国からこの世に戻る人を運ぶ花だったのです…。

▼601号「山の花・サギソウ」

【本文】
日当たりのよい湿原にサギソウが咲いています。シラサギが舞い降
りるような優雅な花です。昔、幼いころに別れ別れになった兄を捜
しに娘が一人、越後へ旅に出ました。

途中、険しい山道で足を滑らし、崖から落ちてしまいました。しば
らくして気がついた娘は、自分がシラサギの姿になっているを見て
驚きなげきました。しかし、気を取り直し大空に羽ばたき、旅を続
けました。

そのころ越後に弓の名人の若者がいました。ある日、見たこともな
い白い鳥を見つけ矢を放ちました。矢は見事命中。若者は急いで白
い鳥の落ちた場所に行ってみると足に傷を負った娘がいました。

娘から訳を聞き兄妹であることが分かりました。ふたりは再会を喜
びあいました。見るとまわり一面、サギソウの花が咲いていました。
サギソウは黄泉の国からこの世に戻る人を運ぶ花だったのです…。

サギソウは、ラン科の日当たりのよい湿原に生える日本固有の多年
草本。地中に球根で越冬し、春に発芽。花期7、8月花茎を20〜30
センチに伸ばし、経3センチの花を2、3個咲かせます。花の形が
鷺の飛び立つ姿に見えるとし、サギソウの名がついたのだそうです。
絶滅惧種。「鷺草」は夏の季語になっています。

俳句。「さぎ草の鷺の嘴さへきざみ咲く」皆吉爽雨。「鷺草のおくれ
咲きしも翔(か)けそろふ」水原秋櫻子。サギソウは東北南部から
九州に分布し、群生することもあるそうです。園芸品種には、白や
黄色の覆輪斑の入ったものもあるそうです。

サギソウには、深い谷をはさんだ山向こうとこちらの男女が会おう
として川に落ち、サギソウになったという悲恋の形見伝説(美濃伝
説)や、謀殺されそうになった常磐姫が父親に助けを求めた文をシ
ラサギに託したサギソウ悲話(武蔵野伝説)などもあります。
・ラン科サギソウ属(ミズトンボ属)の多年草

▼【データ】
・ラン科サギソウ属(ミズトンボ属)の多年草

【参考】
・『続・植物と神話』近藤米吉編著(雪華社)1976年(昭和51)
・『植物の世界・104号』(週刊朝日百科)(朝日新聞社)1996年(平
成8)
・『日本大百科全書・10』(小学館)1986年(昭和61)
・『日本の野草』(山と渓谷社)1983年(昭和58)
・『牧野新日本植物図鑑』牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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