とよだ 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚
【ひとり画通信】

▼588号 「東丹沢・仏果山と正住寺」

【概略】
仏果山は京の僧仏果上人が座禅修業をした山。上人の「座禅石」が
仏果山南側、金冷シノ沢入口の最上段の滝のそばにある。その仏果
上人が開いたお寺が煤ヶ谷・寺ヶ谷戸にあります。その正住寺は鎌
倉の建長寺の末寺。いまでも上人の石像が建っています。
・神奈川県愛川町と清川村との境

▼588号 「東丹沢・仏果山と正住寺」

【本文】
仏果山の山頂には観音像が三角山を背に置かれています。南北朝時
代、京の僧仏果上人が南麓の煤ヶ谷・寺ヶ谷戸にやってきて正住寺
というお寺を建て、この山で座禅修業をしたという。

いまでも、上人の「座禅石」が、仏果山南側、金冷シノ沢入口の最
上段の滝のそばにあります。仏果山とは、南麓の蝶ヶ谷方面両の呼
び方だという。

愛川町半原ではこのあたり一帯を南山、また津久井町の長竹、韮尾
根地区では半原富士と呼んでいたそうです。

仏果上人が開いた正住寺は、鎌倉の建長寺の末寺になっているとい
う。臨済宗で金剛山と号していたといいます。

仏果上人は、応永8年(1401)4月に他界したとされ、いまでも上
人の石像が建っています。早春に訪れると境内のきれいな紅梅白梅
が見られます。

正住寺のある煤ヶ谷の名は天正18年豊太閤の制札には「相模国(神
奈川県)大中郡内すずがや小屋入え郷二十三所」とあると『新編相
模国風土記稿』にあります。…このススというのは、山梨県の郡内
領では、山路のことをいうというと『山村語彙』にあるそうです。

『山村語彙』は正式名『分類山村語彙』といい、柳田國男・倉田一
郎編(復刻版)(国書刊行会)1977年(昭和52)の民俗語彙を集め
た書です。ここには「煤ヶ谷の七不思議」があるという。

人により題目が少し違うそうですが、一般のものは、@横山の朝霧。
A不咲(さかず)の椿。B雨降りの松。C3度なりの栗。D女夫竹。
Eおとぼうが渕。F送り雀。このほかに養老坂の化け桜。和田川の
大螢などがあるが、大体この中から7つを組み合わせているようで
す。

@横山の朝霧は、煤ヶ谷村から宮ヶ瀬村へ越す旧土山峠の一帯を村
では横山と呼んでいましたが、ここには毎朝きまって霧がかかると
いいます。Aの不咲(さかず)の椿は、花が咲かない不思議な椿が、
煤ヶ谷の大野部落のお寺にあるという。

Eのおとぼうが渕は、旧土山峠の下にある淵で、昔この村の井上馬
次郎さんという人の祖先が、この淵にヤマメを釣りに行きました。
4尺ばかりのデカイやつがとれ、これを背負って土山峠を登って行
きました。

すると突然ヤマメが「天狗坊(てんごうぼう)〜や、オトボウはい
ま仏坂(ほとけざか)を背負われていくぞ」と叫んだという。驚い
てヤマメ放り出したところ、たちまち仏の像に変わって坂を転がり
落ちて行き、おとぼうが淵へ入ってしまいました。水の中へ入った
ら仏像は、またヤマメの姿になったという。いまでもその坂を仏坂
と呼んでいるそうです。

▼データ】
【所在地】
・神奈川県愛甲郡清川村。小田急本厚木駅からバス煤ヶ谷、徒歩15
分で正住寺。地形図上には寺院記号のみ記載。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【正住寺】緯度経度:北緯35度29分4.03秒、東経139度16分
17.05秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「厚木(東京)」

【山行】
・第1日目:1991年(平成3)1月13日(日・快晴)仏果山探訪:19
91年(平成3)1月13日(日)〜19日(土)「新宿駅・本厚木駅・半原バ
ス停・仏果山・煤ヶ谷・物見峠・三峰山・不動尻・大山・ヤビツ峠
・塔ノ岳・丹沢山・蛭ヶ岳・檜洞丸・大室山・加入道山・菰釣山・
高指山・三国山・明神峠・不老山・山市場バス停・新松田駅・新宿
駅」:「丹沢ほぼ全山縦走」単独行

【参考】
・「あしなか・第3輯」(山村民俗の会)1943年(昭和18)
・「角川日本地名大辞典14・神奈川県」伊倉退蔵ほか編(角川書店)
1984年(昭和59)
・「日本歴史地名大系14・神奈川県の地名」(平凡社)1984年(昭和
59)
・「イラスト丹沢・山ものがたり」とよた 時(山と渓谷社)1991年
(平成3)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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