山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼586号 「八ヶ岳・県界尾根の大天狗」

【概略】
赤岳を中心とする一帯は昔は修験の山。北方に東天狗・西天狗、南
方には天狗尾根、県界尾根上に大天狗、小天狗という場所もある。
その大天狗には頭のない天狗像がある。明治の廃仏棄釈の嵐のせい
か、盗まれたか倒木で割れてしまったか、頭がない。かわりに赤い
石が乗せてあった。
・長野県南牧村

▼586号 「八ヶ岳・県界尾根の大天狗」

【本文】
長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳の赤岳を中心とする一帯は昔は修
験の山で御柱山を前山に阿弥陀、赤岳は奥ノ院だったという。

修験といえば天狗伝説がつきもの。赤岳の北方に東天狗、西天狗、
南方には天狗尾根があり、東にのびる県界尾根上に大天狗、小天狗
という場所もあります。

県界尾根は文字通り山梨・長野県の境界です。いま赤岳に登るには
北麓の美濃戸口からが手っ取り早いし楽な道。そのため県界尾根は
滅多に人に会いません。会ってもふもとの駐車場を基地にした軽装
姿のクルマ族。

ある年の9月、県界尾根を下りました。大天狗には頭のない天狗像
があります。

明治の廃仏棄釈の嵐もここまでは及ばないと思うが、あるいは盗ま
れたか倒木で割れてしまったか。頭のかわりに赤い石が乗せてあり
ました。

▼【データ】
【所在地】
・長野県南佐久郡南牧村。JR小海線清里駅からバス大泉清里スキ
ー場下車、歩いて3時間30分で大天狗。地形図に地名・標高もとに
記載なし。付近に何も記載なし。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【県界尾根大天狗】緯度経度:北緯35度58分17.38秒、東経138度2
2分54.08秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「八ヶ岳東部(甲府)」or「八ヶ岳西部(甲
府)」(2図葉名と重なる)

【参考】
・「角川日本地名大辞典20・長野」(角川書店)1991年(平成3)
・「角川日本地名大辞典19・山梨」(角川書店)1991年(平成3)
・「信州山岳百科・2」(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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