山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼584号 「北ア・蝶ヶ岳のヤカン」

【概略】
蝶ヶ岳のテント場で見た年代物のツェルトテント。2本のポールを
ロープで吊って支えています。パックの日本酒をコップに注いで悠
々たるもの。時の流行に惑わされないつわ者風。しばらく観察して
気がついた。夕陽にヤカンが光って転がっている。こりゃ何だ?
・長野県松本市と安曇野市との境

▼584号 「北ア・蝶ヶ岳のヤカン」

【本文】
北アルプス蝶ヶ岳の名前の由来になっている蝶の雪形は、この山の
二重山稜のくぼ地の吹きだまりに積もった雪でできるのだという。

常念岳から蝶ヶ岳・大滝山・徳本峠へと続く縦走路はその中を横切
っています。蝶の胴体の所は、中央部のハイマツが繁った隆起した
部分で、まわりより早く雪が溶けるところといいます。

雪形が溶けはじめると「蝶が舞う」といって昔は苗代の種まきをし
たそうです。

ある年の7月、徳沢から登り、妖精の池で高山植物などを見たあと、
蝶ヶ岳のテント場にひと張り張らせて貰いました。

すぐ上の登山道わきの平たい岩に寝転がり、アルコールを飲みなが
ら槍ヶ岳から続く穂高の見事な山なみを眺めます。夕飯前の憩いの
ひとときです。

ふと見ると私のテントの隣に張りはじめた年代物のツェルトテント
が張られていました。2本のポールをロープで吊って支えています。

テントの主は、パックの日本酒をコップに注いで悠々とやっていま
す。時の流行に惑わされないつわ者風。

あんな登山者になりたいものです。しばらく観察して気がつきまし
た。夕陽にヤカンが光って転がっているのです。こりゃ何だ?

▼【データ】
【山名・地名】蝶ヶ岳(ちょうがたけ)
・【異名・由来】蝶の雪形。別称:頂嶽(播隆絵図)。

【所在地】
・長野県松本市安曇(旧南安曇郡安曇村)と長野県安曇野市堀金(旧
南安曇郡堀金村)との境。大糸線豊科駅の西16キロ。JR大糸線穂
高駅からタクシー三ツ股下車、さらに歩いて5時間で蝶ヶ岳。写真
測量による標高点(2677m・標石はない)がある。地形図に蝶ヶ岳
ヒュッテと蝶ヶ池、山頂に標高点とその標高の記載あり。

【名山】
・清水栄一選定「信州百名山」(第66番○選定)

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【標高点】緯度経度:北緯36度17分14.67秒、東経137度43分33.87


【地図】
・2万5千分の1地形図「穂高岳(高山)」

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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