山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼580号 「足尾庚申山・妖怪退治の場」

【概略】
南総里見八犬伝の犬養現八が妖怪を退治した場所が庚申山にある。
登山道をいくと、小さい岩穴(小胎内)があり、お山巡りコースが
別れる。この小胎内とその先の大胎内の間にある狭い空間がそれだ
という。作者滝沢馬琴が現地を訪れないまま執筆したせいかこんな
所かと思うような場所だった。
・栃木県日光市

▼580号 「足尾庚申山・妖怪退治の場」

【本文】
滝沢馬琴の小説「南総里見八犬伝」の中に出てくる犬養現八が、山
猫の妖怪を退治した場所というのが栃木県の庚申山にあります。

庚申山荘から最高点のある山頂を目指して登山道をいくと、小さい
岩穴(小胎内)があり、右にお山巡りコースが別れます。

このこの分岐点をお山コースめぐりの道を行くと、小胎内とその先
の大胎内の間にある狭い空間があらわれます。そこが妖怪を退治の
現場だという。

馬琴が現地を訪れないまま執筆したといわれ、そのせいかこんな所
かと思うような場所。

…現八が隠れていると、妖怪は苔の生えた馬に乗ってやってきた。
馬は枯木のようで4つの足は木の枝。シッポはススキの穂だという
からものすごい。

真っ赤な口は耳まで裂け、真っ白な牙をむき出した妖怪。現八はそ
の光る片目をめがけて矢を放った。たまらず妖怪は落馬し遁走。こ
の妖怪こそ同じ八犬士のひとり犬村大角の父一角を食い殺し、父に
化けている妖怪だったという筋書きです。

▼【データ】
【山名・異名】庚申山(こうしんざん)
・【由来】:庚申信仰。年劫を経た白猿が棲んでいたといい、猿が申
に通じることから庚申山と呼ばれた。猿の浄土とも呼ばれた。

【所在地】
・栃木県日光市(旧上都賀郡足尾町)。わたらせ渓谷鉄道通同駅の
北西6キロ。わたらせ渓谷鉄道通胴駅からタクシー・銀山平から3
時間20分で庚申山。写真測量による標高点(1892m)がある。地形
図に山名と標高点の標高記載あり。標高点から東方513mにコウシ
ンソウの自生地がある。東南730mに庚申山荘がある。

【ご利益】
・【庚申信仰】農業神・養蚕の神・馬の守り神・漁業の神・ドロボ
ー除け・火事の予防・病気予防・金儲け
・【猿田彦神社】祭神・猿田彦神:悪病除、魔除

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【標高点】緯度経度:北緯36度40分23.11秒、東経139度21分40.54


【地図】
・2万5千分の1地形図「皇海山(日光)」

【参考】
・「図聚天狗列伝・東日本編」知切光歳(三樹書房)1977年(昭和5
2)
・「南総里見八犬伝3」(岩波文庫)1990年(平成2)

山と田園の画文ライター
ゆ-もぁイラストレーター
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