山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼575号 「丹沢・加入道山のオオバコ」

【概略】
オオバコは人の靴などについて広がるという人なつこい植物。人の
踏み固めた道が好きで、廃道になると消滅するというから親近感の
持てる草だ。ここ北丹沢・加入道山群生している。大雨にぬれて加
入道避難小屋に飛び込んだ。2mはあろう大ヘビが茂みの中に消え
ていった。
・神奈川県山北町(避難小屋は神奈川県側)

▼575号 「丹沢・加入道山のオオバコ」

丹沢の北側にある加入道山は、いまはバスの便も良くなり日帰りも
できますが、以前は山梨県道志側からでも1、2泊は必要だったと
ころ。

山名は、このあたりには鹿が多く、鹿入道(かにゅうどう)と呼ん
でいたものが、いつしか鹿が加の文字に変わったという説などがあ
ります。

山頂わきには避難小屋があって、こんなところにもオオバコが群生
しています。オオバコは人について広がるという何とも人なつこい
植物。

オオバコは、広くて大きいので大葉子。まさに名の由来は葉っぱに
あります。この葉をあぶって、指先で軽くもむと表皮がふくれて、
まるでカエルのたいこ腹のようになります。

そのせいか、ゲェロッパなどカエルの葉を意味する方言がたくさん
あります。オオバコの種子は水気を帯びると粘り気が出て、人の靴
のうらや昔の牛馬車について広がる植物。

人間の踏み固めた道が適地で、それが廃道になり、人が通らなくな
ると自然に消滅するというからなんとも不思議な植物です。

3年ほど前、夏山訓練を兼ねて白石峠下の水場のある休憩所にテン
トを張りに行ったことがありました。翌日は篠突くような大雨に、
加入道避難小屋に逃げ込みました。

2mはあろうかというヘビがオオバコの葉の中を通って茂みの中に
消えていきます。止みそうもない大雨に飛び出して下山。下着から
水分がしたたっています。

途中で一風呂浴びて服は着替えたが、財布のなかのお札までビッシ
ョリ。駅についても自動販売機が使えませんでした。
・オオバコ科オオバコ属の多年草

▼【データ】
【所在地】
・神奈川県足柄上郡山北町と山梨県南都留郡道志村との境。中央本
線梁川駅の南11キロ。小田急線新松田駅からバス、西丹沢終点下車、
歩いて3時間30分で加入道山。三等三角点(1418.4m)と、近くに
避難小屋がある。地形図上には山名と三角点記号とその標高のみ記
載。三角点より南方向直線約672mに白石峠があり、三角点より東
方向直線約487mに馬場峠がある。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【三等三角点】緯度経度:北緯35度30分35.26秒、東経139度2分46.
31秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「大室山(東京)」。5万分の1地形図「東
京−上野原」

【参考】
・「かながわの山」植木知司(神奈川合同出版)1981年(昭和56)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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