とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼544号 「南ア・兎岳遠望の林道」

【概略】
兎岳から西側遠く、山腹をうねっている白い線。山腹を削って延び
る林道はやまなみが台無しにしてしまっている。人間の傲慢さがは
っきり分かる。樹木の間にテントを張って潜り込む。温かいスープ
で体を温めながら、どうも気になるあの林道を記入した地図上にヘ
ッドランプの光を当てた。
・長野県飯田市と静岡県静岡市との境。

▼544号 「南ア・兎岳遠望の林道」

【本文】
南アルプスの南部・荒川岳・赤石岳から南下し聖岳の向かう途中に
兎岳(2818m)という山があります。

山頂はハイマツ帯の広場になっていて、北方には赤石岳、荒川岳、
そしてはるか向こうに甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳など望み、360度の展
望を欲しいままにできます。

山名は西方長野県側に突き上げてくる遠山川の支流兎洞の源頭とい
う意味だとか。この一帯はシラビソ、トウヒ、コメツガ、ダケカン
バ、サワラなどの森林に深くおおわれた原始の山奥を実感するとこ
ろ。

山頂東面静岡県側は、赤石沢が深く食い込み、夏でも隠れた雪渓が
谷間の各所に残っています。兎岳は長野県遠山郷のひとたちが「ウ
サギ、ウサギ」と親しみを込めて呼んでいる山。

山麓の南信濃村木沢小学校の校歌にも「明日に仰ぐ聖岳、夕べに望
む兎岳……」と歌われているそうす。小兎・中兎岳を従えてそびえ
る兎岳の姿は立派だといいます。

兎岳の三角点の標高は2799.3mになっていますが、三角点は山頂
より西南へ約160m離れた稜線上のやや低いところにあり、実際の
兎岳山頂の標高は2818mだそうです。

測量登山は1905(明治38)年、猟師の丸山熊吉の案内で陸地測量部
の測量官が長野県上村下栗から平谷山、立俣山を経由して登ったと
いう。

また、登山者としては1912(明治45)年、中村清太郎が南から赤石
岳への縦走中にこの山頂に立ったのが最初の記録です。

ある年の8月、静岡県井川から畑薙第一ダムの終点までバス。宿泊
料金込みのマイクロバスに乗せられ椹島へ。赤石テント場で一泊後、
赤石岳経由で兎岳の山頂に立ちました。

すでに夕方のこともあって山頂には誰いませんでした。岩に座り込
み、大休止。おやつを食べていると、ふと、西側遠くの山並みのく
ねくねと蛇がはっているような白いものが続いているのが目に入り
ました。

それはなんと山腹を削って延びる林道でした。なんという人間の傲
慢さでしょう。あれではまわりの植生への影響も心配になるのも道
理です。街の中で自然保護をいう人たちにも一度見てもらいたい光
景です。

そろそろ体冷えてきました。登山道を歩き始めます。急に道が荒れ
急坂を下るようになっています。この前来たときとどうも様子が違
う。2,3回うろうろ。

たしか少し戻って坂道を下り避難小屋の前を通ったはず。思い出し
たころは雨が降り出しました。歩けるだけ歩き、木々の間にテント
ひと張りの場所を見つけもぐり込みます。

温かいスープを飲みながら、どうも気になるあの林道を記入した地
図上にヘッドランプの光を当てました。

・【データ】
【所在地】
・長野県飯田市南信濃地区名(旧下伊那郡南信濃村)と長野県飯田
市上村(旧下伊那郡上村)と静岡県静岡市との境。飯田線飯田駅の
南東29キロ。JR飯田線飯田駅からタクシー(2時間)シラビソ峠
下車、さらに歩いて延べ12時間で兎岳山頂(標高点・縦走路が通る)。

三等三角点(2799.3m・縦走路からはずれる)と写真測量による標
高点(2818m・山頂)、避難小屋がある。

地形図に山名と縦走路の南西に三角点の標高、縦走路わきに標高点
(2818m)の標高、その南東に兎岳避難小屋、避難小屋わきに標高
点(2696m)の記載あり。山頂より南西方向直線約185mに三角点
がある。山頂より北東方向直線約140mに避難小屋がある。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【標高点】:写真測量による標高点(2818m)。【緯度北緯35度25分
42.98秒、東経138度07分16.29秒
・【三等三角点】:(標高2799.3m)。【緯度経度】北緯35度25分41.01
秒、東経138度07分9.6秒

【基準点閲覧】国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索
・基準点(三角点):(基準点コード:TR35338100901)(点名:兎岳)
(冠字選点番号:白 31)(種別等級:三等三角点)(基準点成果
状態:正常)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 35°25′40.
8649、経度 138°07′09.5187)(標高:2799.33m)(基準点現況状
態:報告なし 00000000)(所在地:記載なし)(点の記図:閲覧×)。

【点の記】
・閲覧不可

【地図】
・2万5千分の1地形図「大沢岳(甲府)」or「赤石岳(甲府)」(2
図葉名と重なる)。5万分の1地形図「甲府−赤石岳」

【山行】
・第2日目:1988年(昭和63)8月4日(木・晴れ)兎岳探訪:19
88年(昭和63)8月3日(水)〜9日(火)「井川駅・畑薙ダム・椹島
・赤石岳・兎岳・茶臼岳・聖岳・光岳・寸又峡・奥泉駅・井川駅・
井川ダム・大日峠・勧業牧場・静岡駅」:「南ア南部・赤石岳・聖岳
・光岳・寸又峡・大日峠縦走」単独行

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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