とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼542号 「東北・西吾妻山のザック」

【概略】
吾妻連峰の最高峰の西吾妻山。ある晩秋、肩にある西吾妻小屋に赤
いザックがひとつ置いてあった。それから数ヶ月後、山岳雑誌に西
吾妻山での遭難の記事はちょうどその日に当たっている。そういえ
ばあの晩、ザックの主はあらわれなかったゾ〜ッ。

▼542号 「東北・西吾妻山のザック」

【本文】
日本武尊が東征のおり碓井峠から東方を望み、「吾妻はや」と妻を
しのんだので、峠から東の山はみな「あづま山」だという。吾妻連
峰もそのひとつ、最高峰は西吾妻山。この山はやはり山伏が修行し
た山で、近くの天狗岩に吾妻神社が祭られています。

ある晩秋、人形石から西吾妻避難小屋へ歩いていました。突然、赤
ちゃんをおんぶした三人連れが雪の降る中、雨具もつけない軽装で
現れました。赤ちゃんは寒さで泣きっぱなしです。

白布温泉に下るというがいまの時期リフトは動いていないと聞いて
います。時計を見ると午後の4時。歩いて白布に着くのは7時半過
ぎにはなってしまうはず。「お気をつけて」などとやけに元気です。

西吾妻小屋に入ると隅の壁に赤いザックがひとつ置いてありまし
た。西吾妻山頂へ空身で出かけているらしい。横なぐりの身の切る
ような風雪にあたり、体は冷え切っています。

山頂へ登るのは明日にして早速コンロを出し、熱かんで体を温めま
した。それから数ヵ月後、山岳雑誌に西吾妻山での遭難の記事。ち
ょうどその日に当たります。

そういえばあの晩、ザックの主はあらわれませんでした。この一連
の出来事は何か関連があるのではないか。そんなことを考えるのも
非日常的な環境にいたせいでしょうか。

・【データ】
【所在地】
・山形県米沢市。奥羽本線峠駅の南西11キロ。山形新幹線米沢駅
からバス、白布温泉から4時間で西吾妻小屋(無人)。小屋のほか
付近に何もなし。地形図上には小屋名と建物記号にみ記載。西吾妻
小屋より東南方向直線約330m西吾妻山(標高点・2035m)がある。
付近に何も記載なし。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【西吾妻小屋】緯度経度:北緯37度44分21.14秒、東経140度08
分14.59秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「吾妻山(福島)」

【山行】
・第6日目:1991年(平成3)10月21日(月・曇りのち雪)西吾妻山
探訪:1991年(平成3)10月16日(水)〜23日(水)「三陸海岸取材・裏
磐梯・五色沼・会津磐梯山・浄土平・吾妻小富士・姥ヶ原・一切経
山・五色沼・家形山・人形石・西吾妻山・小野川湖・猪苗代湖駅」
:「三陸から吾妻連峰縦走」郡山駅まではカメラマンと取材同行、
猪苗代から家内と同行

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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