とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼537号 「富士山麓・原生林の野宿」

【概略】
かつて栄えた「吉田登山道」。いまはよほどの物好きか変わり者。
ある夏、中ノ茶屋手前の原生林中で野宿をして富士山を目指したこ
とがあった。真っ直ぐ延びる道路先の天空には富士山の山小屋の灯
り。小さな虫が光を求めコッヘルに飛び込みました。
・山梨県富士吉田市

▼537号 「富士山麓・原生林の野宿」

【本文】
自衛隊の訓練で轟音とともに次々に実弾が撃ち込まれる山梨県富士
吉田市側の富士山麓。山中湖北の石割山などから見ると撃ち込まれ
るたびに砂ぼこりが舞い上がり痛々しい。

富士吉田市の浅間神社からつづく「吉田登山道」は、中ノ茶屋まで
舗装道路で途中演習場の立入禁止の立て札もあります。馬返しから
先の荒廃した山小屋群がかつて栄えた道だったことを物語っていま
す。

いまこの登山道を歩いて登るのはよほどの物好きか「変わり者」。
ある夏の夕方、富士急行富士吉田駅を降り、浅間神社裏手からヘッ
ドランプをつけてトボトボ。中ノ茶屋手前の原生林の中で野宿をし
たことがありました。

真っ直ぐ延びる道路の先の天空には富士山の山小屋の明かりが光っ
ています。しかし一歩原生林に入れば真の暗闇と静寂の真っ只中。
小さな虫が光を求めてコッヘルに飛び込んできました。

樹林の下のわずかな草の上に寝転がります。木々のこずえの間から
ぼんやりと空がかすんでいます。この空間に月でも入れば絵になる
のになあ、と原生林の木々を見上げた画を頭の中に描いてみました。

しかし夜中になった時、舗装した道路で爆音が響き出しました。暴
走族がわがもの顔で走り回っているのでした。次から次へ爆音が通
り過ぎていきます。こんなこともあろうかと道路から離れた奥へ深
く入っていて正解でした。

いまは山の動物よりも人間の方が怖い世の中になってしまいまし
た。それにしてもこんな夜中に、こんな所まで。自負していた「変
わり者」も先を越された感がありました。


・【データ】
【所在地】
・山梨県富士吉田市。富士急行富士吉田駅から歩いて2時間で野宿
の場所。付近に何もなし。地形図上に何も記載なし。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【富士原生林】緯度経度:北緯35度26分46.17秒、東経138度46分3
0.17秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「富士吉田(甲府)」

【山行】
・第3日:2000年(平成12)7月16日(日・雨のち晴れ)富士原生林
探訪:2000年(平成12)7月14日(金・晴れ)〜16日(日・雨のち晴れ)
「高尾駅・大月駅・富士吉田駅・原生林野宿・中ノ茶屋・五合目佐
藤小屋・経ヶ岳姥ヶ懐泊・霧と風のため八合目で引き返す・新五合
目・お中道・五合目佐藤小屋・中ノ茶屋・富士吉田駅・大月駅・高
尾駅」:「富士山原生林野宿夏山訓練」

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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