とよだ 時・山の伝承ゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼525号 「富士山・竹取物語のかぐや姫」

【概略】
かぐや姫に頼みをことわられた天皇。勅使は預かった手紙を富士山
頂で燃やすため登ったという「竹取物語」。また帝から預かった王
冠をつけたままかぐや姫は山頂に消えて行った「富士山縁起」。他
にも同様な物語があり、かぐや姫と富士山はよく結びつけられてい
る。

▼525号 「富士山・竹取物語のかぐや姫」

【本文】
竹林にお月さまとくればあのかぐや姫を思い浮かべます。しかしか
ぐや姫は富士山にも関係があるという。美しいかぐや姫の評判を耳
にした帝は、姫を呼び夢中になり妃のようにこの姫を愛したという。

3年が過ぎたころ、かぐや姫は「私は天女です」といい残し、不死
の薬や手紙を渡し、天に昇ってしまいました。

悲しんだ天皇は、姫から預かった不死の薬や手紙を、天に一番近い
富士山頂で燃やしてしまうよう指示したという。

勅使は大勢の兵士を連れて富士山に登りました。山は兵士でいっぱ
いになりました。そこで「士に富む山」というので「富士山」と名
づけたと平安時代の作「竹取物語」にあります。

また、古書の筆写本といわれる室町時代の「富士山縁起」には、帝
からかぐや姫に贈る王冠を預かった使いが富士山に登る途中で姫に
会い、姫は使いから渡されたその冠をつけたまま山頂に登って行っ
たとあります。

さらに南北朝時代の本「神道集」にも、かぐや姫を寵愛していた国
司が頂上にある大きな池(噴火口?)の煙のなかにほのかな姫の姿
を目撃、身を踊らせた。それ以来煙は消えず不死の煙(富士の煙)
というのだという。

その他にも同様な物語があり、かぐや姫と富士山はよく結びつけら
れています。

一方、初めて富士山頂のようすを詳しく書いた「富士山記」(平安
時代初期)には、承和年中(834〜848)山頂から穴のあいた珠玉が
落ちてきたり、貞観17(875)年11月5日、頂上で白衣の美女2人
が1尺位の空中を舞う目撃談があります。

当時は、まだ活動していたであろう霊峰富士山には何か不思議な仙
女でもいると信じられていたのでしょうか。なお、宝永山の西側に
浮き出る雪形をかぐや姫の雪形とし、雪姫とも呼んでいます。

・【データ】
【参考】
・『神道集』(巻八の四十七)安居院作:東洋文庫94『神道集』貴志
正造訳(平凡社)1994年(平成6)
・『竹取物語』:日本古典文学全集8『竹取物語 伊勢物語』片桐洋
一他校注(小学館)1990年(平成2)に所収
・「富士山縁起」:『山岳宗教史研究叢書・17』(修験道史料集1・東
日本編)五来重編(名著出版)1983年(昭和58)
・『富士山・史話と伝説』遠藤秀男(名著出版)1988年(昭和63)
・「富士山記」都良香(『本朝文粹註釋・巻第12』に収録):「富士山
記」柿村重松註(内外出版)1992年(平成4)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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