とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼524号 「北ア・鹿島槍ヶ岳と地震神」

【概略】
室町時代に鹿島槍が大地震で大崩落、麓の集落が大被害を受けた。
村人は、常陸の国(茨城県)の鹿島神宮から地震の神である鹿島大
明神を勧請。山の名を鹿島山、集落を鹿島集落と改めたという(「信
府統記」)。
・長野県大町市と富山県立山町、黒部市との境。

▼524号 「北ア・鹿島槍ヶ岳と地震神」

【本文】
山の名はその形からきているものが多い。槍の穂先のように尖って
いる槍ヶ岳。白馬三山の「鑓ヶ岳」も槍と同じ意味です。さらに後
立山連峰にも槍ヶ岳があり鹿島槍ヶ岳と呼んでいます。

この山は室町時代に大地震があり大崩落し、ふもとの集落が大きな
被害を受けたという。これは地震の神のせいに違いない。

村人は常陸の国(いまの茨城県)の鹿島神宮から鹿島大明神を勧請
して山に祭り、集落に鹿島神社を建て、山の名を鹿島山、村の名を
鹿島集落、集落の中を流れる川を鹿島川と改めたという。それがい
まの鹿島槍ヶ岳のふもとの鹿島集落だというのです。

江戸中期の『信府統記(しんぷとうき)』という本にも「鹿島山ト
ナズケタルハ昔シ鹿島明神出現アリシトテ此所ニ祭リシヨリ今ニ此
名アルナリ」と出ています。

地震はいまでも防ぎようがなくただただ神頼み。かつては地震は地
下に大ナマズがいて暴れて起きると考えられました。そのため、だ
れが考えたか石の杭を地面に打ち込み、地下のナマズを押さえよう
としました。

それが全国にある要石(かなめいし)です。なかでも有名なのは鹿
島アントラーズの地元・茨城県鹿嶋市にある鹿島神宮にある要石は
有名です。

鹿島の神が日本をとりまく大ナマズの頭と尾を要石を使って地下で
押さえつけているため、この地方では地震がないといわれています。

しかし、いまの鹿島集落のある場所では、どう見ても鹿島槍ヶ岳の
山の崩壊で被害を受けるような位置ではありません。「信府統記」
に書いてあることはウソなのでしょうか。それとも集落がかつてカ
クネ里に住んで?いたときのことでしょうか。

・【データ】
【山名・地名】鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)
・【異名・由来】:古くは背比べ山・隠里岳。大冷沢源流に現れる雪
形から「シシ岳」「ツル岳」(「富山県山名録」)

【所在地】南峰と北峰がある。
・長野県大町市と富山県中新川郡立山町と富山県黒部市宇奈月町
(旧下新川郡宇奈月町)との境。大糸線信濃大町駅の北西15キロ。
JR大糸線信濃大町(タクシー20分)大谷原から歩いて8時間45分
で鹿島槍ヶ岳南峰、さらに歩いて30分で北峰。南峰には二等三角点
(2889.1m)、北峰には写真測量による標高点(2842m)がある。
地形図に鹿島槍ヶ岳の文字記載。その他それぞれに南峰の文字と三
角点の標高、北峰の文字と標高点の標高の記載あり。付近に何も記
載なし。

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第47番):日本二百名山、日本三百
名山にも含まれる。
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(含まれず)
・清水栄一選定「信州百名山」(第53番)

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【北峰(標高点)】緯度経度:北緯36度37分37.38秒、東経137度45
分7.05秒
・【南峰(三角点)】緯度経度:北緯36度37分28.3941秒、東経137度
44分49.39秒

【基準点閲覧】国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索
・基準点(三角点):(基準点コード:TR25437764001)(点名:鹿島
入)(冠字選点番号:由 6)(種別等級:二等三角点)(基準点成果
状態:正常)(地形図:高山−大町)(測地系:世界測地系)(緯度
経度:緯度 36°37′28.3941、経度 137°44′49.39)(標高:2889.
08m)(基準点現況状態:正常 19991001)(所在地:長野県大町市
大字鹿島字鹿島入8590番地)(点の記図閲覧:可)

【地図】
・2万5千分の1地形図「十字峡(高山)」or「神城(高山)」(2図
葉名と重なる)。5万分の1地形図「高山−大町」

【山行】
・第8日・1987年(昭和62)8月2日(日・快晴)鹿島槍ヶ岳探訪
:1987年(昭和62)7月26日(日)〜8月3日(月)「新宿駅・千
国駅・源長寺・山の神尾根・天狗原・白馬大池・小蓮華山・白馬岳
・天狗の頭・不帰嶮(かえらずのけん)・唐松岳・五竜岳・鹿島槍
ヶ岳・冷池・爺ヶ岳・扇沢出合・信濃大町・松本駅・新宿駅」:「後
立山連峰(千国白馬大池から爺ヶ岳・扇沢)縦走」家内と同行

【参考】
・「角川日本地名大辞典20・長野県の地名」市川健夫ほか編(角川
書店)1990年(平成2)
・「角川日本地名大辞典16・富山県」坂井誠一ほか編(角川書店)1
979年(昭和54)
・「信州山岳百科・1」(信濃毎日新聞社)1983年(昭和58)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「信府統記」第六巻(信濃国郡境記四安曇郡の部)享保9(1724
年)(松本藩内の総合書・藩治便覧ともいうべき地誌)
・「日本歴史地名大系20・長野」(平凡社)1990年(平成2)
・「日本歴史地名大系16・富山県の地名」(平凡社)1994年(平成6)
・「富山県山名録」橋本廣ほか(桂書房)2001年(平成13)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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