とよだ 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼505号「丹沢大山・石尊の石はどこにある」

・【概略】
丹沢大山の大山石尊は、白布で巻かれた自然石だという。なぜ白布
で巻いてあるのか。それについてはいろいろと推測がされています。
明治初期の神仏分離令で廃仏棄釈の波が押し寄せます。仏像は次々
と暴徒たちに破壊されていき、石尊も危なくなりました。石尊が神
なら、暴徒たちからの破壊を免れます。大山石尊の自然石には梵字
が刻まれていたのではないか。当時、それを隠すために布を巻いた
のではないかというのです。いまもご神体は本宮の床下に納められ
ています。
・神奈川県伊勢原市

▼505号「丹沢大山・石尊の石はどこにある」

【本文】
神奈川県丹沢にある大山(相模大山)は、昔からの信仰の山。落語
の題材「大山まいり」にも登場する名山です。そこに鎮座する本尊
の大山石尊(せきそん)は文字どおり石であるという。

この石は自然の大石で、山頂の本宮の建物が本尊を覆うように建っ
ているという。その形は円形とも陽石ともいわれています。それは
なぜか白布で巻かれ、宮司以外は見ることは厳禁になっているとい
う。

1873年(明治6)、神仏分離令が発令されてからは、廃仏棄釈とい
う風潮が巻き起こり、神道関係の暴徒たちによって、各地の仏像や
お寺が破壊され続けました。いまでもあちこちに頭のない仏像が見
かけられるのはその名残です。

そんななか、相模大山の石尊は権現ですが仏ではなく、神だいうこ
とになり破壊から免れて山頂に残すことができました。しかし、そ
の本尊がなぜ布に巻かれているのかいろいろと憶測されています。

一説に、その自然石には仏教の梵字が刻まれているのではないかと
いうのです。それが発覚すれば仏ということになって、すぐに壊さ
れてしまいます。

そこで本尊の自然石に布を巻いて梵字を隠しているのではないかと
いうのです。小田急電鉄元旅客課長で丹沢山塊研究家の根本行道氏
が、目黒宮司から聞いた話が「あしなか第77輯」(山村民俗の会)1962
年(昭和37)に載っています。

「先年本宮を修復した時、確かに自然石を見た」というのです。そ
れによると「最初に白布を巻いたのは1875年(明治8)だという。山
火事で本宮が消失してご神体が露呈し、雨露にかかり、また衆人の
目にさらされるのを防ぐためと聞いている。

先年本宮を大修復した時に白布で巻いた。ご神体は白布で巻いた自
然石で真っ黒な巨岩だった。大きさは8畳くらいで表面は崩れやす
くボロボロになっており、梵字が彫ってあるのかも判別できないほ
ど。本宮の内陣の中央に蘆(ろ)を切ったようにあけた大穴があり、
そこからご神体の自然石の頭部が出ている」。

また修復の時、宮司と同席した宮司の息子の修一氏が「床に立った
高さより2、3寸高かったようだ」という。すると修一氏の身長(5
尺2、3寸らしい)より1寸の高さ(1尺は約303.030mm。1寸
は約30.303 mmとして)を計算すると、床から上の大山石尊の高
さ5尺4寸は1.63627mで約1.64mくらいらしい。

しかし土に埋まっている部分がどのくらいあるものでしょうか。も
し自然石に梵字があったとしても、何回もの火事で表面が焼かれ、
真っ黒になってボロボロになったいまでは、全くの謎になってしま
っているとのこと。謎のご神体は謎のままで残しておく方がいいの
かも知れませんね。


▼【データ】
【山名】雨降山・阿夫利山(あふりやま・あぶりやま)、国御山(く
にみやま)、大福山(だいふくさん)、如意山・阿倍利山

【所在地】
・神奈川県伊勢原市と厚木市・秦野市との境。小田急小田原線伊勢
原駅の北6キロ。小田急伊勢原駅からバス、大山ケーブル駅からケ
ーブル利用下社駅下車、さらに歩いて1時間30分で丹沢大山。三等
三角点(1251.7m、現地確認)と写真測量による標高点(1252m・
標石はない)と阿夫利神社奥社と電波塔がある。地形図に山名と三
角点の標高、標高点の標高、阿夫利神社の建物の記号と電波塔の記
号の記載あり。

※「地図閲覧サービス」と「電子国土ポータルWebシステム」地形
図には三角点と標高点があるが、「基準点成果等閲覧サービス」地
形図には両方とも記入がない。

【ご利益】
・御利益:豊作祈願・無病息災・家内安全・防災招福・商売繁盛な
どの祈願。とくに水に関係のある火消し・酒屋、またご神体の刀に
関係のある大工・石工・板前などの商売繁盛の祈願)。

【位置】
・標高点:【緯度経度】北緯35度26分27.06秒、東経139度13分52.3
秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

・三角点:【緯度経度】北緯35度26分26.72秒、東経139度13分52.5
秒(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【基準点の詳細】基準点成果等閲覧サービス(点名不明)
現地の三角点は三等三角点。点名不明(基準点サービスで点名「大
山」は四等三角点。しかし移動させると別の場所に移動してしまう。

【地図】
・2万5千分の1地形図「大山(東京)」(国土地理院「地図閲覧サ
ービス」から検索)。5万分の1地形図「秦野−東京」(「電子国土
ポータルWebシステム」から検索)

【山行】
・日帰り:1990年(平成2)7月19日(木・晴れ)丹沢大山探訪:「新
宿駅・伊勢原駅・大山ケーブル・雨降山大山寺・阿夫利神社下社・
見晴台・阿夫利神社・蓑毛越え・蓑毛・秦野駅・新宿駅」

【参考】
・「相州大山の話・大山石尊」根本行道:「あしなか第77輯」山村民
俗の会(1962年(昭和37):「あしなか・復刻版」第4冊(第77輯・
丹沢特集)(名著出版)1981年(昭和56)所収
・「山の石・大山石尊」羽賀正太郎:「あしなか第73輯」(山村民俗
の会)1961年(昭和36):「あしなか復刻版」第4冊(名著出版)1
981年(昭和56)所収

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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