とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼492号 「房総・おせんころがし」

【概略】
外房海岸の「おせんころがし」。強欲な領主に領民は苦しんでいた。
領主の娘「お仙」はやさしく、領民の味方で、したわれ頼りにされ
ていた。領民は秋祭りの夜、領主を断崖から突き落とした。しかし
落ちたのは父親の衣装をまとって父親の身代わりになったお仙だっ
た。
・千葉県勝浦市と鴨川市との境

▼492号 「房総・おせんころがし」

【本文】
房総半島(千葉県)の地図をみると外房海岸に「おせんころがし」
という変わった地名の所があります。ここはいまでこそ国道やJR
外房線が通っていますが昔は断崖続きでかなりな難所だったそうで
す。

ここの領主は強欲で領民は高い年貢に苦しんでいました。領主には
「お仙」というやさしい娘がおり、領民の味方で、みんなにしたわ
れ、頼りにされていました。

しかし、領主はますます年貢の上げ放題。お仙がいくら頼んでも聞
き入れません。ついに領民は秋祭りの夜、領主を断崖から突き落と
してしまいました。

翌朝、断崖に行って見るとそれは父親の衣装をまとったお仙ではあ
りませんか。父親の身代わりになったのです。

ここにはそんな伝説が残っています。現場の断崖にはいまは立派な
石碑が建っています。

かつて房総半島を横に、東京湾側鋸山からここ「おせんころがし」
まで、山の中を尾根伝いに3泊で縦走できたものでした。房総は標
高は低いが山が深く、起伏に富み野猿や鹿にも会い、楽しい山歩き
ができました。

しかし採石業者が尾根を削り縦走路を通せんぼ。清澄山周辺ではヤ
マヒルもウジャウジャ。そのうえ、砂採り業者が山を更地にしてし
まう始末。そんな山に嫌気がさし、すっかりご無沙汰しています。

・【データ】
【山名・地名】
・【異名、由来】:悪徳な領主の身代わりになって断崖から突き落と
された娘のお仙の悲劇の場所。

【所在地】
・千葉県勝浦市と千葉県鴨川市(旧安房郡天津小湊町)との境。J
R外房線安房小湊駅からバス、おせんころがし下車。記念碑がある。
地形図上には地名と記念碑記号のみ記載

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【おせんころがし】緯度経度:北緯35度06分59.34秒、東経140度1
3分25.84秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「安房小湊(大多喜)」

【山行】
・第1日目:1987年(昭和62)10月9日(晴)おせんころがし探訪
:1987年(昭和62)10月9日〜11日「行川アイランド駅・おせんこ
ろがし・内浦県民の森・清澄寺(泊)・元清澄・香木原・清和県民
の森(泊)・お茶立て場・高宕山・九十九谷・鹿野山バス停・佐貫
町駅」:「おせんころがし・清澄寺・元清澄・高宕山・九十九谷・鹿
野山縦走」

【参考】
・「日本の民話11・民衆の笑い話」(未来社)1973年(昭和48)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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