とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚
【ひとり画通信】

▼490号 「丹沢山麓・天社神石碑」

【概略】
丹沢山麓でよく見かける天社神。これは吉日の社日と、同じく吉日
の天赦をくっつけて「天社神」という神さまにしたらしい。だから
天社神は「吉吉神」。丹沢ヤビツ峠の登山口小蓑毛集落鹿島神社境
内には「吉吉神」の天社神と疫病神が一緒にまつられている。さす
が神様同士はお互い心が広い。
・神奈川県秦野市

▼490号 「丹沢山麓・天社神石碑」

【本文】
神奈川県の丹沢山麓の集落で、天社神と書かれた石碑をよく見かけ
ます。天社神とは、神さま関係の辞典にもない、変わった神さまな
のだそうです。

調べてみると天社は天赦で、暦に出てくる天赦日(てんしゃにち)
のことではないかとあります。天赦日は「万事を為すに触りなしと
いう最高の大吉日」。

暦のなかで吉日は、天一天上(てんいちてんじょう=天一神という
空想上の暦神(方角神)が天上にある佳日)(『暦の百科事典p338』)
と社日、天赦の日だけで、あとは丙午(ひのえま)、十方暮(じっ
ぽうくれ)、庚申(こうしん)、三伏(さんぷく=初伏、中伏、末伏
の三つを総称していう)、犯土(つち=干支の土と土とが重なる日)、
三隣亡(さんりんぼう=干支の亥、寅、午を各月につけて選日して
いる)など凶日ばかりです。

これは、中国の戦国時代から漢の時代にできた陰陽五行説にもとづ
く考え方で、万物一切は木火土金水(もくかどごんすい)の五つの
要素からなっているとし、それに陰と陽をつけたものだとか。

すなわち、木火は陽に、金水は陰に属し、土はその中間だとし、そ
の消長で天地の災い、人の運勢を説明しようとするこれまたやっか
いなもの。

また、暦に社日という土地の守護神をまつる日があります。春と秋
の彼岸に一番近い戊(つちのえ)の日で、吉日とされています。

それに同じく吉日の天赦をくっつかせ天社神という神さまにしたの
だろうといいます。つまり吉吉神なのであります。

丹沢ヤビツ峠や大山への登山口の蓑毛、その少し手前の小蓑毛集落
鹿島神社境内にも天社神の石碑があります。

ある年、表尾根を歩くついでにわざわざ寄ってみました。この神社
にはいくつかの神さまが集められまつられています。天社神の石碑
を写真に撮り、境内をブラブラ。

すると変わった神さまの名が目にはいりました。厄神大権現とあり
ます。「吉吉神」の天社神と疫病神が一緒の神社にまつられている
のです。さすが神様同士はお互い心が広いものです。

・【データ】
【所在地】
・神奈川県秦野市小蓑毛鹿島神社境内。小田急秦野駅からバス、小
蓑毛下車6分で鹿島神社。地形図上には地名と神社記号のみ記載

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【鹿島神社】緯度経度:北緯35度24分20.01秒、東経139度14
分0.4秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「秦野(東京)」

【参考】
・「宿なし百神」川口謙二著(東京美術刊)1979年(昭和54)
・「暦の百科事典」暦の会編(新人物往来社)1986年(昭和61)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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