山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼488号 「縁起の植物・両づくし」

【概略】
赤い実をつけた草や小低木。アカモノ(別名一両)。ヤブコウジ(十
両)。カラタチバナ(百両)。センリョウ(千両)、マンリョウ(万
両)。これらを赤い実がなるアリドオシといっしょに寄せ植え。そ
して「一両、十両、百両、千両、万両、年中お金が有りどおし(ア
リドオシ)」といって縁起をかついで楽しむ。

▼488号 「縁起の植物・両づくし」

【本文】
野山を歩いていると、赤い実をつけた草や小低木をたくさん目にし
ます。その植物を用いたちょっと面白い話があります。

高山の湿った草地や低山の林の中に生えるアカモノ(別名一両)の
実(ツツジ科シラタマノキ属の常緑小低木)。また山地の木陰に生
えるヤブコウジ(ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低木)。別名
十両。

さらに暖地の林の中で赤い実をつけたカラタチバナ(ヤブコウジ科
ヤブコウジ属の常緑小低木)。百両ともいいます。それにおなじみ
のセンリョウ(千両)(センリョウ科センリョウ属の常緑低木)。

さらにマンリョウ(万両)(ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低
木)があります。葉の下に赤い実を熟します。これらを、やはり赤
い実がなるアリドオシ(アカネ科アリドオシ属の常緑小低木)とい
っしょに寄せ植えにします。

そして「一両(アカモノ)、十両(ヤブコウジ)、百両(カラタチバ
ナ)、千両(センリョウ)、万両(マンリョウ)、年中お金が有りど
おし(アリドオシ)」などといって縁起をかつぎます。いろいろ楽
しみ方があるものです。

・【データ】アリドオシ
【名前】:蟻をも通すようなとげ。
【科属】:アカネ科アリドオシ属の常緑小低木
【葉花果実】:葉は1節おきに大きなものと小さなものがつく:赤
い果がは双子のように二つならんでつく:果実は翌年の花時にもま
だくっついている
【とげ】:アリドオシの枝(トゲ)は托葉(葉の付け根にある1対
の葉片のような器官)のわきから出ている(普通の植物の枝は葉の
つけねのすぐ上から出る)。
【利用】:アントラキノン系の色素を含んでおり媒染することによ
って堅牢な赤染めの染料となる。

【参考文献】
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)
・「植物の世界・2」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「植物の世界・7」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「植物の世界・8」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物・2」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「日本大百科全書・1」(小学館)1984年(昭和59)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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