とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼478号 「富士周辺石割山・山と月と湖と…」

【概略】
石割山の石割神社は手力男命を祭る。ある年、十五夜の翌日も暦で
は望月で満月だった。神社下に幕営。夜中の山頂は天空に満月、富
士山のシルエットが浮かぶ。ゆっくりと山中湖が雲海に入り墨絵の
世界にとけ込む。ススキと野の花を前にしばらくは不動の姿勢だっ
た。
・山梨県山中湖村

▼478号 「富士周辺石割山・山と月と湖と…」

【本文】
おなじみの『古事記』に出てくる「天の岩戸」伝説にちなむ所は、
長野県の戸隠山はじめ各地にありますが、ここ富士山を望む石割山
もそのひとつ。

八合目にある石割神社は手力男命(たぢからおのみこと)を祭り、
背後に高さ10m、長さ15mもの大きな岩が垂直に切ったように立っ
ています。その裏にある岩戸はまるで誰かが動かしたかのよう。

この山は石そのものがご神体とされ、戸のような岩には石の字に似
た割れ目が入っています。ことしの十五夜は台風の影響で荒れ模様。
この夜に月などあるのかといわんばかりの厚い雲に覆われていまし
た。

しかし、翌日だって暦では望月(もちづき)で満月です。翌日の望
月は文字通りの台風一過。そんな快晴のなか、山梨県山中湖北側の
石割山に月見山行をしました。

山頂に幕営するのはあまりに山に対して不遜千万。テントは石割神
社下の展望台に張りました。神社のご神水は満タンに貯まっており、
万病に効験あらたかとあって何度ものどを潤し、幸運が開けるとい
う割れた石の間をぐるぐると回ります。

テント場からは、眼下に山中湖を中心に夜景の色とりどりの灯火が
広がっています。そのうち月が出てきました。あまりのすばらしさ
にヘッドランプを頼りに登りだしました。

夜中の山頂は天空に満月、富士山のシルエットが右手に浮かび、先
ほどの山中湖を中心にした夜景はすでに雲海のなかに入っていまし
た。いつか墨絵の世界にとけ込んでいくようです。

しばらくは無言のまま動けない状態でした。テントに帰るとわきの
ベンチにさりげなく供えられたススキと野の花。同行の女性の心遣
いが嬉しい。また忘れられない山のヒトコマができました。

▼【データ】
【所在地】
・山梨県南都留郡山中湖村。富士急行三つ峠駅の南東10キロ。富士
急行富士吉田駅からバス・平野から歩いて1時間10分で石割神社。
地形図上には神社記号と建物記号のみ記載。石割神社より北方向直
線約150mに石割山頂がある。

【ご利益】
・【石割神社】:幸運。無病息災

【位置】
・【石割神社】緯度経度:北緯35度26分57秒、東経138度54分05
秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「御正体山(甲府)」。5万分の1地形図「甲
府−山中湖」

【山行】
・第1日目:1999年(平成11)9月25日(土・快晴)石割山探訪:19
99年(平成11)9月25日(土)〜26日(日)「富士吉田駅・平野・幕営地
・石割山・平野分岐・平尾山・太平山・長池山・浅間神社バス停・
富士吉田駅」:「石割山・御正体山お月見山行」

【参考】
・「甲斐国志」(松平定能(まさ)編集)1814(文化11年):(「大日
本地誌大系」(雄山閣)1973年(昭和48)所収
・「角川日本地名大辞典19・山梨県」磯貝正義ほか編(角川書店)1
984年(昭和59)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)
・「山中湖の歴史と伝説」(山中湖村教育委員会):
・山梨県山中湖村観光協会(協力)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画通信】
題名一覧へ戻る