とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚
【ひとり画通信】

▼468号 「もう一つの金時伝説長野金時山」

【概略】
金太郎伝説の山は箱根だけではない。昔、長野県八坂村の山に鬼女
がいた。鬼女は有明山の八面大王の恋人で、ある時「謎の岩窟」で
大王の子を産んだ。その子の名は金時で、その山を金時山といった
という。柳田国男の「山の人生」にも登場。
・長野県大町市八坂

▼468号 「もう一つの金時伝説長野金時山」

【本文】
♪足柄山の金太郎、気は優しくてエ 力持ち」おなじみの金太郎。
坂田金時の伝説の山は箱根の足柄山が有名です。

しかし金太郎伝説は足柄山だけではなく各地にあるという。長野県
南木曽町の南木曾岳(なぎそだけ)も金時伝説の山。

江戸時代の「木曽路名所図会」にも記載があり、登山道わき金明水
近くに「金時ノ洞窟」があって沢の対岸から望めます。また山頂付
近に金時岩もあります。

そのほか長野県の大町市近くの八坂村(いまは大町市八坂)にも金
時山があります。その八坂村にはこんな伝説が残っています。

昔、村内の山に顔の赤い紅葉鬼人という女が住んでいました。鬼人
は有明山の鬼・八面大王(魏石鬼)の恋人で、謎の岩窟といわれる
場所で大王の子を産みました。それが金時だったというのです。

その山を金時山といい、そばを流れる川を金時と熊にちなんで金熊
川といっています。

八面大王が田村麻呂に退治されるや母の紅葉鬼人は、それを悲しみ
山を去り、水内(みのち)の方で舌を噛みきって死んだという。そ
こが鬼無里だという。いまでも金時山で行われる金時山大姥神の神
祭には必ず雨が降るといわれています。

このような山姥が子どもを育てるという話は昔は各地にあったそう
で、金時が頼光四天王の一人に発展するようになって足柄山ばかり
が有名になってしまったと柳田国男も「山の人生」のなかで述べて
います。

なお、鬼無里村の一夜山にも鬼女伝説があり、戸隠の鬼女紅葉とも
関連づけられています。

【所在地】
・長野県大町市八坂

【参考】
・「ふるさとの伝説・日本発見」(暁教育図書)1980年(昭和55)
・「柳田国男全集4」(山の人生)柳田国男(ちくま文庫・筑摩書店)
1989年(平成元)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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