山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼459号 「山の花・スハマソウ」

【概略】
春、山道を歩いていると林の中で見つける可愛いスハマソウの花。
葉の形が祝い事の飾り台・島台(しまだい)の州浜(すはま)形を
しているのでその名があるという。口内炎などの薬草になります。
葉がもっと尖っているのが仲間のミスミソウです。
・キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草

▼459号 「山の花・スハマソウ」

【本文】
春、山道を歩いていると林の中で見つける可愛いスハマソウの花。
スハマソウとは変わった名前です。スハマとは洲浜で、海上に浮か
ぶ小島が干潮で砂洲を三方に現した姿のこと。

その様子を飾り台にして木石・花鳥で飾り宴席におくのが洲浜台。
この草の三つに分かれた葉の形が、その洲浜に似ているので洲浜草
なのですと。

春早く花が咲くため、雪割草などとおだてられ、(サクラソウの中
間にも同じ名前のものがある)鉢植えとして正月の飾りに用いられ
ます。

3月ごろ、古い葉の間から長い柄のある白または淡紫色の、径1・
5センチくらいの花を咲かせます。花弁はなく、花弁に似た長だ円
形のがく片が6〜8枚。

たくさんの雄しべと花心にほぼ球形に集まる雌しべが多数ありま
す。葉は根生で長い柄があり、冬でも枯れずハート形で3つに裂け、
その一つ一つが広卵形で先が鈍形になっています。

葉の先がこれよりとがっているのがミスミソウです(スハマソウは
ミスミソウの品種)。このスハマソウの根生用に薬効があるといい
ます。

タンニンを含んでいて消炎、鎮痒(よう)作用に利用。また民間療法
として根生葉を刻み、アルコールに浸して、水を加えたものをヒビ
やアカギレに塗布するという。濃く煎じ、扁桃炎、口内炎にも効あ
りといいます。
・キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草。

【参考】
・「原色版日本薬用植物事典」伊沢凡人(誠文堂新光社)1980年(昭
和55)
「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画展通信】
題名一覧へ戻る