とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼456号 「箱根・記録に残る最乗寺の天狗」

【概略】
開山(了庵)の弟子道了という大力の僧、生まれながらの天狗とな
りこの山を守護せんと大誓願をおこしすなわち天狗となり山中にす
み悪知識のすまいをなせば必ず来たりて障碍をなすに疑いなし(「北
条氏康最乗寺への参詣記録」。箱根最乗寺の道了尊天狗はカラス天
狗の姿だという。
・神奈川県小田原市と箱根町との境

▼456号 「箱根・記録に残る最乗寺の天狗」

【本文】
山の妖怪ででおなじみの天狗。いろいろな天狗がいますが、なかで
も前身がはっきりしているのが大雄山最乗寺(だいゆうざんさいじ
ょうじ)の道了尊(どうりょうそん)です。

この天狗の前身は、滋賀県大津の有名な三井寺(園城寺)の行者だ
ったという。三井園城寺の古記録「北林院日記」というものには相
模坊道了の名で出ておりいまでいう神奈川県の出身らしい。

道了は南北朝時代の北朝の元号の至徳(しとく)元年(1384)に聖
護院門跡の峰入の先導をつとめ、康応元(1389)年、三井寺の長
吏の上任式には、衆僧720人、式衆20人の中から選ばれて「散華」
という晴れがましい役を引き受け、明くる年の足利三代将軍義満の
屋敷での尊星王法修法にお供をし、その10日後相国寺では十一面
秘法を自ら修めるという大行者。

しかし、同郷の相模出身の了庵慧明(けいめい)禅師が、箱根に最
乗寺を建てることを聞くと、にわかに天狗の姿に変身し、西の窓か
ら金堂前の大杉に飛び移り、東の方に向かい飛び去ったというので
す。

それは了庵が最乗寺開山を思い立った前年の明徳4年(1393)の9
月17日だったとありますいま発行されている道了尊の影符は、みん
な羽根がない像になっています。これについて「影守雑記」や「道
了大薩?伝」に記載されています。

▼最乗寺奥之院【データ】
【所在地】
・神奈川県南足柄市大雄町。伊豆箱根鉄道大雄山線大雄山駅からバ
ス、道了尊から10分で大雄山最乗寺(曹洞宗)奥之院。地形図に奥
之院と記載あり。奥之院より北東方向308mに最乗寺本堂がある。

【ご利益】
・【大雄山最乗寺】:諸願成就

【位置】(標高点、三角点)(電子国土ポータル)
・【最乗寺奥之院】緯度経度:北緯35度18分1.23秒、東経139度04分
23.5秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「関本(横須賀)」

【山行】
・日帰り:1991年(平成3)9月16日(月・雨)箱根最乗寺探訪:「最
乗寺」家内と同行

【参考】
・「図聚天狗列伝・西日本編」知切光歳著(三樹書房)1977年(昭
和52)
・「天狗の研究」知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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