山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼405号 「北ア爺ヶ岳・冷池テント場のブロッケン現象」

・【概略】
後立山連峰の爺ヶ岳北峰・冷池テント場は山荘から離れたところの
高台にあり、立山から剣岳方面の展望すばらしい。山小屋に届を出
してテント場に着くころ、ガスが晴れだし、急な崖の下にブロッケ
ン現象があらわれました。周りの人が急に腕を振り出しました。ど
ういうわけかブロッケンがあらわれると腕を振りたくなります。
・長野県大町市と富山県立山町との境

【本文】は下記にあります。

▼405号 「北ア爺ヶ岳・冷池テント場のブロッケン現象」

【本文】
北アルプス後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)の爺ヶ岳(じ
いがたけ)は、南峰、中峰(本峰・2669.82m)、北峰からなり、大
町市街からもよく眺められます。春、雪どけのころ、「種まき爺さ
ん」の雪形があらわれるのが山の名になっています。かつては里人
はこの雪形があらわれるのに合わせ、農作業を始めたという。

爺ヶ岳北峰・冷池(つべたいけ)テント場は山荘から離れたところ
の高台にあり、立山から剣岳方面の展望がすばらしい。しかし当時
ここには、トイレがなく小屋に行くのには遠すぎるのがちょっと不
便でした。

7月27日に千国駅、源長寺塩の道経由で山ノ神尾根を登り、白馬大
池から後立山連峰を縦走。ここに到着するまで、雨にたたられた五
竜山荘テント場では2泊の停滞を余儀なくされました。その時、ス
トーブが火を噴き出しあわててテントの外へ放り出すしまつ。テン
トに燃え移らずにすんだのがせめてもの幸いでした。

きょうは8月3日。鹿島槍ヶ岳北峰と南峰の鞍部の雪田で雪遊び、
冷やした缶詰めのゆでアズキの味が忘れられません。冷池のテント
場に着き、夕食の準備をしようとしましたが、ストーブが使用不能
で支度ができません。仕方なく山小屋に食事に行くありさまです。

針ノ木峠まで行くのはあきらめて、明日は扇沢に下山するか。ラー
メンを食べてからテント場に着くころは、一面のガスが晴れだして、
急な崖の下にブロッケン現象があらわれました。

それぞれが崖っぷちに立って自分の影を眺めます。急にとなり人が
腕を振り出しました。どういうわけかブロッケンがあらわれると腕
を振りたくなります。周囲を見ると、他のパーテイーの人たちもそ
れぞれが腕を上下に動かしています。やはり感激のひとつの表し方
なんですね。

ちなみに冷池の名は、池の水が冷たいという意味ではないのだそう
です。その意味は長野県側東麓の大冷沢、小冷沢など冷沢の上部に
あるための名前なのだそうです。この池はかつては「ハミの池」と
呼ばれていたという。ハミとは「喰(は)み」で、春、雪が解ける
とけものが草を食い(喰み)にくるような草地をいうとのことです。

▼冷池山荘【データ】
【所在地】
・長野県大町市と富山県中新川郡立山町との境。JR大糸線信濃大
町駅からバス、扇沢下車、歩いて6時間30分で冷池山荘。地形図に
冷池山荘のみ記載。地形図に山荘名のみ記載あり。南方に写真測量
による標高点(2387m)がある。

【位置】
・冷池山荘:北緯36度36分10.76秒、東経137度44分54.55秒

【地図】
・旧2万5千分の1地形図「神城(高山)」or「神城(高山)」(2図
葉名と重なる)

【山行】
・某年8月3日(月曜日・晴れ)後立山連峰縦走時探訪

【参考】
・「アルパインガイド・27」高橋伸行(山と溪谷)1979年(昭和54)
・『角川日本地名大辞典20・長野県』市川健夫ほか編(角川書店)
1990年(平成2)
・『日本歴史地名大系20・長野県の地名』(平凡社)1979年(昭和54)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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