とよた 時・山のゆ-もぁ-と
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼402号「富士山・火口周辺の古銭」

・【概略】
富士山の噴火口は内院と呼ばれ、江戸時代はそれは神聖な場所でし
た。信仰登山の富士講の信者たちはお鉢めぐりをしながら、さい銭
を投げるのが習慣だったといいます。これは室町時代あたりからは
じまった習慣だったそうです。この賽銭が長い年月のうち、風で噴
火口の底から吹き上がり、いまでもお鉢めぐりの登山道で見つかる
ことがあるそうです。
・山梨県と静岡県との境

▼402号「富士山・火口周辺の古銭」

【本文】
富士山の火口のまわりを一周する「お鉢めぐり」では、よく古銭が
見つかるという。江戸時代、富士山の噴火口は内院と呼ばれ、それ
は神聖な場所だったという。内院は浅間神社の奥ノ院にあたるところ。

ここに登ってきた富士講の信者たちはみな、この内院に向けてさい
銭を投げたといいます。これをお散銭(さんせん)といい、無事に
登山できたことを感謝し、家族の幸福を祈ったという。

この習慣はすでに室町時代からあったらしく、室町後期の天文2年
(1533)に駿河の戦国大名今川氏輝が発行した文書に「内院御本社
参(散)銭之事」なる記述が見えます。

さい銭はどこから火口に投げてもいいのではなく、投げる場所も決
まっていたといいます。江戸後期の参詣絵巻「富士山真景之図」(富
士講先達・長島泰行)というものによれば、山頂内院について「東
の斎(さい)の河原と云う所あり…この処を初穂打場という。詣人
賽銭を穴中に投ず」とあります。

いまでいう東賽の河原(東安河原・ひがしやすのかわら) のこと
でしょうか。成就岳の南西側にある、やや平坦なNTTの建物があ
るところです。この賽銭が長い年月のうち強風で噴火口の底から少
しずつ吹き上げられ、お鉢めぐりの登山道に落ちていることがあり、
いまでも2〜3枚は見つけられると案内書にあります。

しかし、登るたびに目を皿のようにして探しながら歩いてみるので
すが、いまだ見つけたことはありません。

▼【データ】
【山名】富士山、不尽、不二、布士、富慈、芙蓉峰(ふようほう)、
富岳などの呼び方がある。富士山8合9勺(はちごうきゅうしゃく
=3360m)からから上、約400万平方mは、徳川家康が富士山本宮
浅間大社に寄進したとの記録があるが、明治維新後国有地にされて
いた。

8合目から上の神社の施設のある約16万平方m分は1952年(昭和27)
に大社に譲与されているが、富士山頂が返還されなかったため、大
社側が国を相手取って裁判を起こしました。

1974年(昭和49)、最高裁の判決で大社側の所有が認められた。し
かし静岡、山梨の県境が確定しておらず、登記手続きがとれず(東
海財務局)、2004年(平成16)12月17日、土地の所有権が国から富
士山本宮浅間神社に移った。(2004年(平成16)12月18付け朝日新
聞から)。

しかし、土地の所有権は認められはしたものの、山頂付近の静岡県
と山梨県の県境はまだ定まっていないという。したがって、土地登
記が出来ずじまい。

住所は、もちろん静岡県でもなく山梨県でもない。所在地は、日本
国富士山無番地なのだそうです。同大社側は「これで所有権の手続
きは解決した。県境の問題は県民感情もあり、登記に向けて時間を
かけて解決したい」と話しているという。

【所在地】富士山頂
・山梨県富士吉田市、山梨県南都留郡鳴沢村と静岡県富士宮市、富
士市、御殿場市・静岡県駿東郡小山町との境だが八合目付近から上
部は富士山本宮浅間大社の「私有地」になっており、境界がはっき
りしていない。富士急行河口湖駅からバス、河口湖口五合目から5
時間30分で富士山頂(標高3775.6m)。山頂に電子基準点と三角点
が二つある。火口内に写真測量による標高点。

【位置】
・山頂剣ヶ峰に電子基準点と三角点、白山岳に三角点、火口内に標
高点がある。
・剣ヶ峰に電子基準点(※標高3774.9m)(北緯35度21分38.75秒、
東経138度43分38.3秒)
・剣ヶ峰電子基準点のすぐ南に三角点(標高3775.6m)(北緯35度2
1分38.26秒、東経138度43分38.52秒)
・白山岳に三角点(標高3756.4m)(北緯35度22分0.02秒、東経138
度43分46.43秒)
・火口内標高点の位置:(標高3535m)(写真測量による標高点)(緯
度経度:北緯35度21分46.53秒、東経138度43分53.27秒)(国土地理
院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【基準点の詳細】
・剣ヶ峰の電子基準点の詳細:(基準点コード:EL05338052802)(点
名:富士山)(冠字選点番号:記載なし)(種別等級:電子基準点)
(成果状態:正常)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度経度:
緯度 35°21′38.7767、経度 138°43′38.2926)(標高3777.39m)
(現況状態:報告なし 20030817)(所在地:記載なし)(点の記図
:閲覧可)。(国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)
※注:電子基準点(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」
では標高3774.9mだが「基準点成果等閲覧サービス」では3777.39
mになっている)

・剣ヶ峰の二等三角点の詳細:(基準点コード:TR25338052801)(点
名:富士山)(冠字選点番号:正 2)(種別等級:二等三角点)(成
果状態:正常)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 35°21′3
8.2608、経度 138°43′38.5153)(標高:3775.63m)(現況状態:
正常 20040820)(所在地:記載なし)(点の記図:閲覧可)。(国土
地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

・白山岳の二等三角点の詳細:(基準点コード:TR25338053801)(点
名:富士白山)(冠字選点番号:正 1)(種別等級:二等三角点)(成
果状態:正常)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 35°22′0
0.0174、経度 138°43′46.4289)(標高:3756.36m)(現況状態:
正常 20040820)(所在地:記載なし)(点の記図:閲覧可)。(国土
地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「富士山(甲府)」(別の図葉名と重ならず)
5万分の1地形図「甲府−富士山」(国土地理院「電子国土ポータ
ルWebシステム」から検索)

【山行】
・1996年(平成8)7月31日(水・快晴)富士山探訪:1996年(平成
8)7月30日(火・快晴)〜31日(水・快晴)「高尾駅・大月駅・富士
吉田駅・中ノ茶屋・五合目佐藤小屋・八合目太子館泊・富士山頂お
鉢めぐり・新五合目バス停・河口湖駅・大月駅・高尾駅」「子供の
科学」取材

【参考】
・「富士山よもやま話」遠藤秀男(静岡新聞社)1989年(平成元)
・「富士山・史話と伝説」遠藤秀男(名著出版)1988年(昭和63)
・「富士登山オール情報」富士急行宣伝室
・「富士山真景之図」長島泰行(名著出版)昭和60(1985)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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