山の伝承伝説に遊ぶ
山旅通信
【ひとり画ってん】とよだ 時

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▼401号「南ア・蝙蝠岳のコウモリ」

【略文】
主稜縦走路からはずれている蝙蝠岳。塩見岳、本谷山、三伏峠、烏
帽子岳、小河内岳、板屋岳、荒川三山の中岳、東岳、千枚岳などが
見渡せる訪れる人も少ない展望台。お花畑の中の岩礫をザクザク歩
く。荒川三山東岳から見るとコウモリが翼を広げているようだとい
う。
・静岡県静岡市。

▼401号「南ア・蝙蝠岳のコウモリ」

【本文】
南アルプス白根三山・塩見岳・三伏峠・荒川三山・赤石岳方面への
主稜縦走路からはずれている蝙蝠岳。主稜縦走路からはずれている
蝙蝠岳。山頂にジャンダルムをもっているという。ここも東海パル
プの社有地です。

塩見岳東の北俣岳から蝙蝠尾根に入り、大井川方面へ下山するルー
トもなくもと来た道を引き返さなければならず、4時間もかかりま
す。南の大井川西沢四郎作沢をつめるルートもあるようですがまず
は無理。

塩見岳、本谷山、三伏峠、烏帽子岳、小河内岳、板屋岳、荒川三山
の中岳、東岳、千枚岳など見渡せる展望台とはいえ、訪れる人はあ
まりありません。

きょうは8月16日、熊ノ平から塩見への途中、ザックを物陰へ置い
て最少の持ち物で往復しました。北俣岳を過ぎ稜線に沿って右に曲
がり白い岩礫をザッザッとかけるように進みます。

ウサギギク、コガネギク、オヤマノリンドウなどが咲くお花畑を通
り、小さな上下をくり返すうちいつの間にか蝙蝠岳山頂へ。荒川三
山の眺望が見事です。

しかしなぜ蝙蝠岳というのでしょうか。荒川三山東岳から見るとコ
ウモリが両翼を広げたようだという。また農鳥岳から南下した広河
内岳(2895m)方面から眺めた時、コウモリが両翼を広げたように
見えるからともいいます。

地図を見て見ます。この山から南の徳右衛門岳へのびる尾根と、北
方の北俣岳に延びる尾根のゆるやかなカーブが大きなコウモリが両
翼を広げ西に向かっているような形?まさか。無理があるなあ。

▼後日談:
2009年(平成21)の夏、南アルプス縦走の際、荒川三山東岳から蝙
蝠岳を見てみます。北方に蝙蝠岳が見えてはいますがコウモリね。
コウモリに見えるといえば見えなくも??こちらの目が悪いのか、
頭が悪いのか…。

農鳥岳から南下する尾根上の広河内岳にも確かめに行かねばなるま
い。いまは蝙蝠岳から徳右衛門岳経由で二軒小屋へ抜けられるとい
う。徳右衛門岳付近には水場もあるらしい。楽しみがまた増えまし
た。

▼【データ】
【所在地】
・静岡県静岡市。JR飯田線伊那大島駅からバス塩川終点・歩いて
三伏峠経由延べ12時間で蝙蝠岳。三等三角点(標高2864.9m)があ
る。地形図に山名と三角点標高の記載あり。

【位置】
・三角点:(標高2864.9m、三等三角点)。【緯度経度】緯度経度:
北緯35度33分24.94秒、東経138度12分26.35秒(電子国土ポータルW
ebシステムから検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「塩見岳(甲府)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)(5万分の1地形図 甲府−大河原)

【山行】仙丈ヶ岳・蝙蝠岳・塩見岳・三伏峠縦走
・某年8月16日蝙蝠岳探訪

【参考文献】
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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