とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼340号「北ア・笠ヶ岳登山道の夫婦げんか」

【概略】
特別な急な登り道・笠新道。入り口で休んでいる熟年のご夫婦。「オ
レはもう帰るッ!」男性が年甲斐もなく怒鳴る。疲れると誰もが機
嫌が悪くなる。ご主人は石に座り込んだ。「自分だけ勝手なことい
って!」と奥さん。こうして夫婦げんかがはじまった。気がつかな
い振りして先を急ぎた。
・岐阜県高山市

▼340号「北ア・笠ヶ岳登山道の夫婦げんか」

新穂高温泉のバスの終点から小池新道途中、笠ヶ岳へめざす急な登
り道・笠新道。展望もない樹林帯の中、杓子平までは3時間、ただ
足下を見ながらの一歩一歩と足を進めます。

三俣蓮華岳、双六岳、槍ヶ岳など主縦走路からはずれた笠ヶ岳を通
るには、登るにしろ下るにしろ、この笠新道を歩かなくてはなりま
せん。しかし途中には風穴もあって岩と岩の間から涼しい風が噴き
出ていて一時的にしろ登山者を涼しくさせてくれます。

ある夏、笠新道をから笠ヶ岳、弓折岳、から双六岳、三俣蓮華岳、
鏡平を一周しました。その帰り、小池新道を新穂高温泉に向かって
いました。左俣林道に降りると道の脇の木々が日陰をつくってくれ
ます。

わさび平小屋でしばらく休憩。テント場を後に歩き出すとまもなく
林道横の岩から涼しい風が頬にあたります。ここにも風穴があった
のです。数日前、苦しい笠新道を登っていったのを思い出します。

その笠新道入口。なつかしい思いで登山道を見ると、入り口で休ん
でいる人たちがいます。熟年の夫婦らしい。「オレはもう帰るッ!」
男性が年甲斐もなく怒鳴っています。

山で疲れると誰もが機嫌が悪くなるようです。とくに家族連れはよ
く文句を言いあっています。ご主人は石に座り込んでしまいました。
「自分だけ勝手なこといって!」と奥さん。

こうして夫婦げんかがはじまりました。オイ、オイ、こんなところ
でもったいないですよ。気がつかない振りして先を急ぎました。

▼【データ】
【所在地】
・岐阜県高山市上宝町(旧岐阜県吉城郡上宝村)。JR高山本線高
山駅からバス、新穂高温泉から歩いて1時間10分で笠新道入り口。

・地形図に名にも記載なし。付近に左俣林道の文字のみ記載。笠新
道入り口より東北方向753mにワサビ平小屋がある。

【位置】
・【笠新道入り口】緯度経度:北緯36度18分23.1秒、東経137度35
分20.4秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「笠ヶ岳(高山)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】
・1994年(平成6)8月13日(土・快晴):1994年(平成6)8月6
日(土)〜15日(月)「北ア新穂高・笠ヶ岳・双六岳・黒部五郎岳・三
俣蓮華岳・鷲羽岳・水晶岳・新穂高・ロープウエイ」家内と同行

【参考】
・「角川日本地名大辞典20・長野県」市川健夫ほか編(角川書店)1
990年(平成2)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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