山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼337号 「北ア・黒部源流岩苔小谷のクルマユリ」

【概略】
黒部源流・温泉が湧き野天風呂もある高天ヶ原。そのまっただ中を
流れる岩苔小谷は雲ノ平、水晶岳、鷲羽岳、祖父岳が分かれ岩苔乗
越へ突き上げている。一名オクノタルサワともいい、そのタルは滝
を意味するいう。沢水の湧き出す源流あたりはクルマユリが群生し
ひときわはなやかだ。
・富山県富山市

▼337号 「北ア・黒部源流岩苔小谷のクルマユリ」

北ルプスのど真ん中に1963年(昭和38)に完成した黒部ダム。いま
では観光客で賑わっています。ゆったりと黒部湖上を走る遊覧船を
背に上流に向かうと平ノ渡シがあり、渡船が登山客を対岸へ運んで
います。

さらに上流、黒部源流、雲ノ平の北側直下の平地は高天ヶ原といい、
温泉が湧き野天風呂もあります。その高天ヶ原のまっただ中を流れ
る岩苔小谷は長さ9キロ。途中に竜昌池、水晶池など池の近くを通
り源頭へ突き上げています。

源頭は雲ノ平、水晶岳、鷲羽岳、祖父岳が分かれる岩苔乗越です。
この沢は滝が多く遡行は困難といいます。一名オクノタルサワとも
いい、そのタルは滝を意味するといわれています。

ある夏、雲ノ平にテントを張りっぱなしにして7時間と、一日がか
りで高天ヶ原の露天風呂に入りに行きました。北西方向の彼方に薬
師岳の全貌が望める岩苔乗越から北側へ急下降。右手が岩苔小谷の
源流です。

高山の草木が繁茂するなか、高天原へ流れる沢水の湧き出すあたり
はクルマユリが群生し、赤に黒い斑点のある花がひときわはなやか
です。

雲ノ平のテント場から岩苔乗越経由で水晶池に寄り道し、高天原、
竜昌池を往復するまで人っ子ひとり遭いません。まるで夢の中にい
るような一日でした。

▼【データ】
【所在地】
・富山県富山市旧大山町各地区名(旧上新川郡大山町)JR大糸線
信濃大町からタクシー・高瀬ダムから歩いて延べ13時間で岩苔乗
越。地形図に地名のみ記載。付近に何も記載なし

【位置】
・【岩苔乗越】緯度経度:北緯36度24分44.2秒、東経137度36分05.21
秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「三俣蓮華岳(高山)」(国土地理院「地図
閲覧サービス」から検索)

【山行】北アルプス裏銀座縦走
・某年8月21日(日・ガスのち晴)探訪

【参考】
・「角川日本地名大辞典16・富山県」坂井誠一ほか編(角川書店)1
979年(昭和54)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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