とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼336号 「北ア・笠ヶ岳杓子平のお花畑」

【概略】
急登と展望のないムシムシした坂道がつづく。樹林帯を抜けやっと
ついた杓子平。景色は一変し、チングルマ、ハクサンイチゲ、ミヤ
マキンポウゲ、ウサギギクなどが咲き乱れるお花畑。大岩のそばの
残雪の所で大休止。元気を出して笠ヶ岳へと続く稜線に登りはじめ
た。
・岐阜県高山市

▼336号 「北ア・笠ヶ岳杓子平のお花畑」

北アルプスの笠ヶ岳(標高2897.5m)は、江戸時代元禄年間(1688
〜1704)に鉈一丁で仏像を刻んだ奇僧円空上人が開山した山といわ
れます。

円空は天和3(1683)年、飛騨高山にやってきて五岳練行(笠ヶ岳、
槍ヶ岳、穂高岳、焼岳、乗鞍岳)をしたとされています。乗鞍岳と
笠ヶ岳には実際に登ったといわれています。

その後、天明2(1782)年には高山市宗猷寺(そうゆうじ)の南裔
(なんえい)上人が登頂。これにはちゃんとした記録があるという
から真実だといわれています。

さらに40年後、文政6(1823)年になって越中の僧播隆が登ったと
いう信仰の山です。1894(明治27)年、山好きの宣教師W.ウェス
トンが登って以来、近代登山の対称になった山とされています。

ある夏、新穂高温泉から笠新道を登りました。急登と展望のないム
シムシした坂道がつづきます。暑さに参りそうな体を風穴の涼しい
風で元気を取り戻しながら一歩一歩をアリンコのように足を進めま
す。

樹林帯を抜けやっとついた杓子平。景色は一変し、チングルマ、ハ
クサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、ウサギギクなど高山植物が咲き
乱れるお花畑が広がります。

登山道が大きくまわり込み、やがて大岩のそばの残雪がありました。
ここで大休止、重い荷物を放り投げ、汗を拭きおやつをとります。
この上の尾根に登れば笠ヶ岳が見えるはず。

地図を見ればあと1時間40分とあります。大分元気が出てきました。
よし出発するか、今夜のテント場どんなところだろう。流れる残雪
の水をくみ取り、水筒を満タンにして稜線に登りはじめました。

▼【データ】
【所在地】
・岐阜県高山市上宝町(旧吉城郡上宝村)JR高山本線高山駅から
バス、新穂高温泉から歩いて3時間40分で杓子平。地形図に地名
のみ。標高記載なし。付近に何も記載なし

【位置】
・【杓子平】緯度経度:北緯36度19分15.19秒、東経137度34分
34.36秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「笠ヶ岳(高山)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】
・1994年(平成6)8月7日(日・快晴):1994年(平成6)8月6日
(土)〜15日(月)「北ア新穂高・笠ヶ岳・双六岳・黒部五郎岳・三俣
蓮華岳・鷲羽岳・水晶岳・新穂高・ロープウエイ」

【参考】
・「角川日本地名大辞典21・岐阜県」野村忠夫ほか編(角川書店)1
980年(昭和55)
・「旅と伝説」三元社(昭和17年4月号・p6)「山と地形のことば」
高橋文太郎:「民俗学資料集成29」(岩崎美術社)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「日本百名山」深田久弥(新潮社)1970年(昭和45)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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