とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼334号 「東北・栗駒山満月下での救助隊待ち」

・【概略】
紅葉真っ盛りの栗駒山山頂。同行者が足のくるぶしを骨折。左の足
首が腫れていて歩けないという。「緊急連絡書」に記入し、通りが
かりの登山者に警察に届けてくれるよう依頼、救助隊を要請。非常
用に張ったテントの中から見事な満月を見て救助隊の到着を待っ
た。

▼334号 「東北・栗駒山満月下での救助隊待ち」

【本文】
○○駒ヶ岳やなんとか駒山など全国に「駒」の名のついた山の名は
たくさんありますが、岩手、宮城、秋田の県境のある栗駒山もその
ひとつ。

春、山頂部御駒山の南面の御室(おむろ)に大きな天馬の雪形がで
き山の名前になっているといいます。それを見て村人は田植えをは
じめたという。

また同じ時期、栗駒山に近い位置には種蒔き坊主の雪形もできると
いう。

山頂には駒形根神社の奥宮がまつられ、御室には神馬の石碑もあり
ます。

この山も各山麓で呼び方が異なり、岩手県側では須川岳・酢川岳・
簀川岳(すかわだけ)。宮城県側では駒ヶ岳・駒形山・駒形嶺・御
駒山。秋田県側では大日岳(おおひだけ)と呼ぶそうです。

酢川岳とは磐井川源流で強酸性のス(酢)・カハ(川)から来てい
る名前。また、近くにある和賀駒ヶ岳と区別するため、宮城県栗駒
郡の「栗」をとって栗駒山と改めたという(「日本山岳ルーツ大辞
典」)。

紅葉のころ山頂にある駒形根神社の奥宮を調べに登りました。今夜
は満月。避難小屋で月見をしながらのおでんが楽しみです。宮城県
湯浜温泉から入り、本峰の紅葉のながめに歓声をあげます。

突然、同行者が悲鳴をあげてすわりこみます。見ると左の足首が腫
れていて歩けないという。見る見る腫れがひどくなります。これで
はどうしようもありません。救助隊を要請することに決めました。

「緊急連絡書」に記入し、通りがかりの登山者にそれを警察に届け
てくれるよう依頼します。足首には木と三角巾で副子固定の応急手
当。

夕方になり仕方なくテントを張ります。暮れゆく紅葉の山々の上に
満月が輝いています。……救助隊のタンカで岩手県側須川温泉にお
り、救急車に乗ったのは、夜の11時過ぎ。

立ちこめる硫黄の臭い。ヘッドランプもいらないくらいの月の光が
照らし出す裸地のなかの火口湖。献身的な救助隊員の姿がいまでも
脳裏に焼きついています。

▼【データ】
【山名】・栗駒山・須川岳・酢川岳・大日岳・駒ヶ岳。栗原の農民
がこの山の駒形の残雪(天馬)をみて種蒔きを行ったことによる。
酢川岳とは磐井川源流で強酸性のス(酢)・カハ(川)から来てい
る名前。近くにある和賀駒ヶ岳と区別するため、宮城県栗駒郡の
「栗」をとって栗駒山と改めたという。(百名山?)(深田クラブ選
定・200名山?)

【名山】
・日本二百名山(深田クラブ選定)・日本三百名山(日本山岳会選
定)・新日本百名山(岩崎元郎選定)

【所在地】
・岩手県一関市と宮城県栗原郡花山村と同県栗原市栗駒(旧栗原郡
栗駒町)、秋田県湯沢市皆瀬(旧雄勝郡皆瀬村)との境。東北本線
一ノ関駅の西30キロ。JR東北本線一関駅からバス須川温泉下車、
歩いて2時間で栗駒山(須川岳)。一等三角点(1627.4m)がある。
地形図に山名栗駒山(須川岳)の文字と三角点の標高の記載あり。
付近に何も記載なし。

【位置】
・三角点:【緯度経度】北緯38度57分39.47秒、東経140度47分
18.07秒(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【基準点の詳細】
・基準点:(基準点コード:TR15840364301)(点名:酢川岳)(冠
字選点番号:記載なし)(種別等級:一等三角点)(基準点成果状態
:停止【成果異常】)(地形図 新庄−栗駒山)(測地系:世界測地系)
(緯度経度:記載なし)(標高:記載なし)(基準点現況状態:なし)
(所在地:記入なし)(点の記図閲覧:記載なし)(国土地理院「基
準点成果等閲覧サービス」から検索)

【点の記】
・閲覧不可

【地図】
・2万5千分の1地形図「栗駒山(新庄)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)。5万分の1地形図「新庄−栗駒山」(「電子
国土ポータルWebシステム」から検索)

【山行】東北・栗駒山山行
・第2日目:1992年(平成4)10月11日(日・快晴)栗駒山探訪:
1992年(平成4)10月10日〜13日「東京駅・一ノ関・石越駅・細倉
マリンパワー前・湯浜温泉(泊)・湯浜温泉・湯浜道分岐・虚空蔵
十字路・虚空蔵山往復・御室平前で細野さん左足首骨折・自然観察
路丁字路・救助隊到着・須川温泉・病院(泊)・病院・一ノ関駅・
石越駅・タクシー・栗駒・バス・一ノ関・病院・一ノ関駅・竹本旅
館(泊)・竹本旅館・一ノ関・東京駅」

【参考】
・「駒形根神社」パンフ
・「コンサイス日本山名辞典」(三省堂)1979年(昭和54)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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