山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼333号 「群馬県・迦葉山の天狗面」

・【概略】
迦葉山弥勒寺の天狗の面は、和歌山県由良町の興国寺のものと大き
さを日本一、二を争っている。4月初旬、ことしは特に雪が多い。
中雀門をくぐって山頂をめざすが進めない。奥ノ院わきの岩場の鎖
をよじ登ると雪が凍ってカチンカチン。天狗の怒りをかう前にまず
は退散した。
・群馬県沼田市

▼333号 「群馬県・迦葉山の天狗面」

【本文】
群馬県沼田市の北にある天狗の山として有名な迦葉山(かしょうざ
ん・1322m)。山麓の弥勒寺(みろくじ)には、たくさんの天狗の
面が飾ってあります。

天狗面は願をかけるときお寺から借りて、それがかなうと新しい面
そえて一緒に返すのだという。

それらの天狗面に混ざって、顔の長さ5.5m、鼻の長さ2.7mの天狗
面があり、和歌山県由良町の興国寺のものと日本一、二を争ってい
ます。

「迦葉山縁起」によれば「嘉祥元戊辰年(848)葛原親王釈の円仁
慈覚大師を招き玉ひ、当国鶏足山は往古(釈尊十八弟子で、仏法第
二世をついだとされる)迦葉尊者入定不滅の霊地なれハ、法灯相続
のため鶏足山の麓に一ツの精舎を草創して円仁大師を安置し玉ひ、
山号を大鷹山と名つけ精舎を竜華院と号す」とあります。

4月初旬、迦葉山は雪の中。ことしは特に雪が多い。右手の中雀門
をくぐって山頂をめざすが、雪の上に踏み跡ひとつありません。胸
くらいの雪がある所もあり、前に進むのも容易ではありません。

中峰尊者はこの先の岩峰にはめ込んだ奥ノ院が住処。奥ノ院わきの
チムニー丈の岩場の鎖をよじ登ると岩窟の中に祠があります。祠の
まわりの岩は雪がカチンカチンに凍っています。

あまり無理をして天狗の怒りをかう前にまずは、奥の院と祠をスケ
ッチし写真に撮り、退散したのでありました。

▼【データ】
【所在地】
・群馬県沼田市。JR上越線沼田駅の北13キロ。JR上越線沼田
駅からバス、迦葉山バス停から1時間10分で弥勒寺。地形図に弥勒
寺の文字のみ記載あり。

【位置】
・弥勒寺:【緯度経度】北緯36度45分4.86秒、東経139度03分
48.08秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「藤原湖(日光)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】迦葉山
・某年4月10日(土・晴れ)迦葉山探訪

【参考】
・「古代山岳信仰遺跡の研究」大和久震平著(名著出版)1990年(平
成2)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「天狗の研究」知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
・「図聚 天狗列伝・東日本編」知切光歳著(三樹書房)1977年(昭
和52)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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