とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼326号 「北ア・鷲羽岳の若者」

【概略】
明治時代、登山者の誤解で山名が混乱。いまは東鷲羽岳といってい
た山を鷲羽岳と呼んでいる。ある年の8月半ば、鷲羽岳山頂で山小
屋の弁当をほおばる若者。はるか白馬岳から縦走してきたとか。こ
れから槍穂高から西穂高へまわるのだと元気よく降りていった。
・長野県大町市と富山市の境

▼326号 「北ア・鷲羽岳の若者」

【本文】
北アルプス鷲羽岳(標高2924.2m)は、山々の渦巻きの中心だと先人を
うならせたという。

山頂からの展望は、南に槍穂高連峰、笠ヶ岳、西に三俣蓮華岳、黒
部五郎岳、雲ノ平、北に水晶岳、野口五郎岳、東に餓鬼岳、燕岳と
360度の展望が広がっています。なるほどいわれてみれば、たしか
に山々の渦巻きの中心にいるような感じです。

江戸時代、越中富山藩主が自領内黒部源流の山々を調査してつくっ
たといわれる奥山廻りの記録(1697・元禄10年)に「鷲ノ羽ヶ岳」
という文字があり、これが鷲羽の文字の最初の記録ではないかとい
う。

当時鷲羽岳は、越中国(富山県)、信濃国(長野県)、飛騨国(岐阜
県)の三国境の山(三俣蓮華岳)を中心にまわりの山々の総称だっ
たようです。

江戸後期の1808(文化5)年ごろから東側の壮大な峰(いまの鷲羽
岳)を「東鷲羽岳」として、いままでの広義の鷲羽岳から独立させ
たのだそうです。

残った鷲羽岳は、当然いまの三俣蓮華岳のことになります。これが
明治時代以後、登山者の誤解で混乱し、いまはその東鷲羽岳(竜池
ヶ岳)といっていた山を鷲羽岳と呼んでいるのだという。

ある年の8月半ば、鷲羽岳山頂で山小屋の弁当をほおばる若者がい
ます。白馬岳から後立山連峰を縦走してきたのだという。眺めると
北のはるか遠くにかすんでいます。

爺ヶ岳から一旦扇沢に下り、黒部ダム経由で室堂に渡り剱岳を往復。
さらに五色ヶ原、スゴ乗越、薬師岳を経て三俣小屋に宿泊。きょう
で単独行9日目だそうな。

そんなこんなを話ながら水晶岳をいっしょに往復。これから槍穂高
連峰から西穂高岳へまわるのだと三俣小屋へ元気よく降りていきま
した。

奥穂高岳からジャンダルムをこえて首尾よく西穂高小屋へ到着でき
たのだろうか。やはり若いっていうのはいいとちょっぴりうらやま
しくなりました。

▼【データ】
【山名】
・【異名、由来】:江戸時代は越中、信濃、飛騨の三国境の山(三俣
蓮華)を中心にまわりの山々の総称だった。

【所在地】
・長野県大町市と富山県富山市旧大山町各地区名(旧上新川郡大山
町)との境。JR大糸線信濃大町駅からタクシー・高瀬ダムから歩
いて延べ12時間で鷲羽岳。三等三角点(2924.2m)がある。地形図
に山名と標高が記載。

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(選定):日本二百名山、日本三百名
山にも含まれる。
・清水栄一選定「信州百名山」(選定)

【位置】(電子国土ポータル)
・【三角点】緯度経度:北緯36度24分10.92秒、東経137度36分18.88
秒(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【三角点の位置】基準点閲覧サービス
・基準点:(基準点コード:TR35437447801)(点名:中俣)(冠字選
点番号:坐 23)(種別等級:三等三角点)(成果状態:正常)(測
地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 36°24′10.7874、経度 137
°36′18.8863)(標高:標高2924.19m)(現況状態:露出 1986081
5)(所在地:富山県富山市大字有峰字黒部谷割1)(点の記図:閲
覧不可)。(国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

【点の記】
・閲覧不可

【地図】
・2万5千分の1地形図「三俣蓮華岳(高山)」。5万分の1地形図
「高山−槍ヶ岳」

【山行】北アルプス笠ヶ岳〜黒部源流縦走
・第8日:1994年(平成6)8月12日(金・快晴)鷲羽岳探訪:1994
年(平成6)8月6日(土)〜15日(月)「東京駅・岐阜駅・高山駅・新
穂高温泉・笠ヶ岳・双六岳・黒部五郎岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳・水
晶岳・黒部源流・新穂高温泉・ロープウエイ・西穂山荘・高山駅・
岐阜駅・東京駅」:家内と同行

【参考】
・「角川日本地名大辞典16・富山県」坂井誠一ほか編(角川書店)
1979年(昭和54)
・「角川日本地名大辞典20・長野県」市川健夫ほか編(角川書店)
1990年(平成2)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「富山県山名録」橋本廣ほか(桂書房)2001年(平成13)
・「日本百名山」深田久弥(新潮文庫・新潮社)1979年(昭和54)
・「日本歴史地名大系16・富山県の地名」(平凡社)1994年(平成
6)
・「飛騨山脈の縦走」辻村伊助(「日本山岳風土記・1」(宝文館)1960
年(昭和35)所収

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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