とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼316号 「中ア・木曽御嶽山飛騨頂上の天狗像」

【概略】
9月、王滝口九合目避難小屋に一泊。剣ヶ峰からお鉢をめぐり、賽
ノ河原・摩利支天山へ登り、しばらく空を見ながら寝ころがります。
そして岐阜県側濁河温泉への降り口・飛騨頂上へ行ったとき五ノ池
小屋のうしろの岩で田の原三笠山刀利天坊天狗がにらみを利かせて
いるのを見つけました。
・長野県木曽町と岐阜県下呂市との境

▼316号 「中ア・木曽御嶽山飛騨頂上の天狗像」

【本文】
木曽の御嶽山(3067m)といえば山岳信仰の山として、いまも全国
に数百万人の信者がいるといい、多くの信者が講を組み白装束で登
る姿を見かけます。

登山道の各所に霊神碑がならんでいて、霊所にろうそくなど立って
います。これを見て気持ち悪がる一般登山者もいます。

ここの開山は飛鳥時代の702年(大宝2)、修験道の祖・役ノ行者小
角(おづぬ)によるといわれ、各地にある「国御岳」のひとつとし
て蔵王権現がまつられています。

そんな山ですから、我慢邪慢の天狗たちがウジャウジャいるという
のも納得できる話です。

なかでも御嶽権現の化身といわれる六尺坊(ろくしゃくぼう)を首
長に、アルマヤ坊、刀利天坊(とうりてんぼう)、大頭羅坊(だい
ずらぼう)なる大天狗が取り仕切っているという。

9月、王滝口九合目避難小屋に一泊。剣ヶ峰からお鉢をめぐり、賽
ノ河原から摩利支天山へ登り、しばらく空を見ながら寝ころがりま
す。

そして岐阜県側濁河温泉への降り口・飛騨頂上へ行ったとき五ノ池
小屋のうしろの岩で、田の原口のバス終点近くにある三笠山にすむ
という刀利天坊天狗の像を見つけました。

高さ10センチほどでしょうか、小柄ながら宙をにらんでいます。御
嶽行者が唱える唱文「御嶽勤行集」にも「恐れ乍らこの座に勧請し
奉るは…八海山大頭羅神王、三笠山刀利天飛竜大権現、阿留摩耶山
大権現うんぬん」と出てきます。刀利天狗は飛竜大権現なのですね。

この八海山大頭羅坊は御嶽山の前山八海山にすみ、三笠山刀利天坊
は三笠山、阿留摩耶山アルマヤ坊は御嶽の阿留摩耶山にすむ大天狗。

この3狗が、剣ヶ峰にすんでいる御嶽権現の化身といわれる御嶽山
六尺坊という別格天狗をまもっていることになっています。

群馬県太田市の新田山でも御嶽権現の脇士(きょうじ)として3天
狗をまつっています。また秩父の両神山でも刀利天坊ほかの3天狗
を山を守る神としており、石像も建っています。

▼飛騨頂上【データ】
★【所在地】
・長野県木曽郡木曽町(旧木曽郡開田村)と岐阜県下呂市(旧益田
郡小坂町)との境。JR中央本線木曽福島駅からバス、田の原終点
下車、歩いて7時間で飛騨頂上。祠がある。地形図上には飛騨頂上
の文字と鳥居記号のみ記載。付近に何も記載なし。標高2800m(地
形図に記載なし)

★【位置】
・【飛騨頂上】北緯35度54分34.46秒、東経137度29分2.85秒

★【地図】
・2万5千分の1地形図「御嶽山(飯田)」

★【山行】木曽駒ヶ岳・麦草岳・木曽御嶽・蓼科山
・第5日目:1992年(平成4)9月8日(火・快晴)。1992年(平
成4)9月4日(金)〜10日(木)「新宿駅・駒ヶ根駅・千畳敷・
木曽駒ヶ岳・濃ヶ池・麦草岳・上松駅・木曽福島駅・田の原・木曽
御嶽山八合目石室・王滝口頂上・剣ヶ峰・飛騨頂上・三ノ池・田の
原・木曽福島駅・茅野駅・親湯入口・蓼科山・親湯入口・茅野駅・
新宿駅」:単独行

★【参考】
・「角川日本地名大辞典20・長野県の地名」市川健夫ほか編(角川
書店)1990年(平成2)
・「図聚 天狗列伝・東日本編』知切光歳(三樹書房)1977年(昭
和52)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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