山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼310号 「奥武蔵・子ノ権現山麓小床静之神社」

【概略】
子ノ権現は足腰の守り神、大わらじと下駄が境内に据えられている。
西吾野駅から直接子ノ権現に向かう途中の小床地区にある静之神社
は水の神・罔象(みずはの)女神をまつる。境内のイチョウのギン
ナンを夢中で拾う。家に帰り茶碗蒸しの味に満足した。
・埼玉県飯能市

▼310号 「奥武蔵・子ノ権現山麓小床静之神社」

埼玉県奥武蔵の子ノ山に子(ね)ノ権現というお寺があります。子
ノ権現とは「子ノ聖(ひじり)」のことだという。

平安時代のはじめ、紀伊の国で、子(ね)の年(十二支)のそろい
もそろって子の月、子の日、子の刻に生まれたのが「子の聖」。

成長するにつれ各地を行脚していましたが、羽黒山まで行ったとき
聖地を求めて、般若経を空中に投げました。

聖(ひじり)はお経が放つ光をたどって来てみると落ちていたのは、
いまでいう「子の山」でした。

早速、お寺を開こうとしましたが、困ったのはこの山に巣をくう悪
魔ども。「縄張りを荒らす」聖(ひじり)を焼き殺そうと山に火を
つけました。

聖は下半身に大やけどを負いますが、神の力で助かったという。そ
の時、子ノ聖は「腰より下を痛めるもの、一心に祈らばその験を得
さしめん」と誓いをたて、以来、子ノ権現は足腰の守り神になり、
大わらじと下駄が境内に据えられています。

西吾野駅から直接子ノ権現に向かう途中の小床地区の静之神社は水
の神・罔象(みずはの)女神をまつります。境内のイチョウのギン
ナンを夢中で拾います。家に帰り茶碗蒸しの味に満足しました。

▼【データ】
【山名】
・【異名、由来】:子ノ権現・子の山。子の聖の山。天台宗別格本山
 大鱗山雲洞院天龍寺(子ノ権現)

【所在地】
・埼玉県飯能市・西武秩父線西吾野駅から1時間半で子ノ権現(大
鱗山雲洞院天龍寺)。地形図に子ノ権現の文字と寺院記号のみ記載。
付近に何も記載なし

【ご利益】
・【大鱗山雲洞院天龍寺】:足腰の守護・子宝・子育て・厄除け開運

【位置】
・【子ノ権現】緯度経度:北緯35度54分27.32秒、東経139度11分17.
31秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「原市場(東京)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】
・某年11月25日(土・晴れ)探訪

【参考】
・「郷土資料事典11・埼玉県」ふるさとの文化遺産(人文社)1997
年(平成9)
・「子の権現天竜寺パンフ」(二本杉)
・「ものがたり奥武蔵」神山弘ほか(金曜堂出版部)1984年(昭和5
9)
・「角川日本地名大辞典11・埼玉県」小野文雄ほか編(角川書店)1
980年(昭和55)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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