山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼305号「奥武蔵・子ノ権現の仁王さま」

【概略】
平安時代、子の聖(ひじり)が開いた子の権現。神仏混合のなごり
の黒門をはさんで鳥居と仁王さまが建っている。その勇壮な姿は、
邪悪なものを退治し仏法を護持しようとする意味があるとパンフに
ある。これは1936(昭和11)年花井探嶺という人が建てたものとい
う。
・埼玉県飯能市

▼305号「奥武蔵・子ノ権現の仁王さま」

子(ね)の年の子(ね)の月の子(ね)の日、子(ね)の刻に生ま
れた子(ね)の聖(ひじり)が、子(ね)の山に開いた子(ね)の
権現。干支(えと)の子(ね)年ずくめの由来伝説です。平安時代
の延喜11(911)年に開山したという。

ここは武蔵野観音第33番札所。関東百八地蔵尊10番札所にもなって
います。境内には大きな鉄わらじが奉納されており名物になってい
ます。

門前には名木二本杉と、神仏混合のなごりの黒門の鳥居、それに真
っ赤になって怒っている露坐の仁王さまが建っています。仁王さま
の勇壮な姿は、邪悪なものを退治し仏法を護持しようとする意味が
込められているとパンフにあります。

これは1936(昭和11)年花井探嶺という人が建てたもの。そもそも
仁王さまとは手に金剛杵を持って、寺院の境内を悪から守るため入
口に立っています。

もとは一体だったそうですが門の両側に立つので2体になったも
の。一体は口を大きく開け、もう一体は閉じている「ア・ン」(密
教の胎蔵界と金剛界をあらわす)の姿。

また、相撲の仕切りの「阿吽の呼吸を合わす」ことや五十音のアか
らンで、宇宙の一切のはじめと終わりの簡潔をあらわしているとい
います。

▼【データ】
【山名・地名】
・【異名、由来】:子ノ権現・子の山。子の聖の山。天台宗別格本山
 大鱗山雲洞院天龍寺(子ノ権現)

【所在地】
・埼玉県飯能市・西武秩父線西吾野駅から1時間半で子ノ権現(大
鱗山雲洞院天龍寺)。地形図に子ノ権現の文字と寺院記号のみ記載。
付近に何も記載なし

【ご利益】
・【大鱗山雲洞院天龍寺】:足腰の守護・子宝・子育て・厄除け開運

【位置】
・【子ノ権現】緯度経度:北緯35度54分27.32秒、東経139度11分17.
31秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「原市場(東京)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】子ノ権現から竹寺
・某年11月25日(土・晴れ)探訪

【参考】
・「郷土資料事典11・埼玉県」ふるさとの文化遺産(人文社)1997
年(平成9)
・「子の権現天竜寺パンフ」
・「ものがたり奥武蔵」神山弘ほか(金曜堂出版部)1984年(昭和5
9)
・「角川日本地名大辞典11・埼玉県」小野文雄ほか編(角川書店)1
980年(昭和55)

 

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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