とよだ 時 「山の伝説伝承」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼295号 「北ア・雲ノ平薬師沢カベッケが原」

【概略】
黒部川の源流にある「カベッケが原」はカッパが化ける原っぱの意
味だそうな。かつて地元の人たちはこのあたりでカッパの姿をよく
みたという。初和35年には砂の上に「河童」らしき足跡も見つかっ
ている。クマザサのなかから顔を出したら通りかかった登山者が急
に駆けだしていった。
・富山県富山市

▼295号 「北ア・雲ノ平薬師沢カベッケが原」

【本文】
北アルプスのど真ん中を流れる黒部川(富山県)。その源流が薬師
岳から大きく雲ノ平をまくあたりに「カベッケが原」という湿地帯
があります。

カベッケが原とはカッパが化ける原っぱの意味の「河化(かべっけ)
が原」だそうな。ここは昔からカッパが出る所だという。かつて山
に入っていた地元の人たちはこのあたりでカッパの姿をよくみたと
いいます。

1960年(昭和35)、山小屋のオーナーがカベッケが原の少し下流の
立石近くでカッパの足あとがたくさんあるのをみつけたという。そ
の時の写真がいまでも残っています。

ある年の夏、雲ノ平にテントを張りっぱなしにして「カベッケが原」
に行ってみました。雲ノ平のアラスカ庭園から黒部川に出て、薬師
沢小屋の釣り橋を渡ると間もなくカベッケが原です。

人っ子ひとり見あたらず、背たけを追いこすササや草が生えた湿地
帯で標識があるだけです。しぼり出た水が流れをつくっています。
カッパはいまでもいるだろうか。夜になれば出てくるだろうか。

こんな所に住むのではキュウリの味は知らないだろう。ササにもぐ
って回り込み標識裏の文字を手帳に書きとったりします。そのとき
登山者がやってきました。

あいさつをしようとやぶの中から顔を出しました。とたんに彼はうし
ろも振り向かずいちもくさんにかけ出しました。何か勘ちがされたよ
うです。

帰り、ここの河童の資料のようなものはないかと雲ノ平の山小屋に
立ち寄りましたがありません。そこで小屋備え付けの「ノート」に鉛筆
書きでカッパが釣りをしている絵を描きました。

小屋番氏が「もっと大きく描けばいいのに」などといってくれましたが、
それだけが「現地」に残した私の「足跡」になりました。1995年(平成7)
の暑い日のことでしたことでした。

▼カベッケが原【データ】
・【所在地】
・富山県富山市(旧上新川郡大山町)。富山地方鉄道有峰駅から
バス、折立から歩いて8時間でカベッケが原。地名標柱がある。そ
のほかは何もなし。地形図に何も記載なし。カベッケが原より東方
向直線約200mに薬師沢小屋がある。

・【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・【カベッケが原】北緯36度25分41.98秒、東経137度32分38.85秒)

・【地図】
・2万5千分の1地形図「薬師岳(高山)」

【山行】裏銀座烏帽子岳から表銀座・常念岳・徳本峠・島々谷縦走
・第4日目:1995年(平成7)8月20日(日・快晴)カベッケヶ原
探訪:1995年(平成7)8月17日(木)〜8月28日(月)「新宿駅・松
本駅・大糸線信濃大町駅・七倉・烏帽子岳・野口五郎岳・水晶岳・
雲ノ平・高天原(高天ヶ原)・黒部源流・三俣蓮華岳・双六岳・槍
ヶ岳・大天井岳・常念岳・蝶ヶ岳・大滝山・徳本峠・霞沢岳往復・
島々集落・新島々駅・松本駅・新宿駅」:単独行

【参考】
・「黒部の山賊・北アルプスの怪」伊藤正一(実業之日本社)1995
年(平成7)

【とよだ 時】 山と田園風物漫画
……………………………………
 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画通信】
題名一覧へ戻る