山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼285号 「群馬県・荒船山の避難小屋」

【概略】
山なみに浮かぶ巨大な船体荒船山。とも岩からは噴煙をあげている
浅間山が目前。太陽も沈み、眼下を走るクルマのライト、町の夜景
が見事。吹きあげる風が体を冷やす。避難小屋に入り寝袋にもぐり
こむが寒くて、とうとう一晩中寝られなかった。
・群馬県下仁田町と南牧村、長野県佐久市の境

▼285号 「群馬県・荒船山の避難小屋」

巨大な船体の形をした群馬県の荒船山。連なるその名も波打つ山な
みに浮かべ、南方に向かい航行しているようにみえます。

最高峰のピーク行塚山(1423m)は経塚山の異名もあるように、そ
の昔弘法大師が経文を埋めたという伝説があります。甲板は平担で、
低い樹林帯になっていてハイキングコースにもなっています。

北の端のとも岩は荒船溶岩が削りとられ、高さ約170m、幅600mも
の大岩壁になっていて、前橋や高崎から望むと、まるで荒波にもま
れる船のように見えるといいます。

とも岩の岩壁には、手すりもなく怖くてちょっと近寄れません。目
の前に浅間山が噴煙をあげています。遠く北アルプスから八ヶ岳と
雄大な展望を方位盤で確認しながら楽しみます。

今夜はそばにある避難小屋で一泊。太陽も沈み、眼下の林道を走る
クルマのライト、町の夜景が見事です。吹きあげる冷たい風が体を
冷やします。

早速小屋に入りお燗をした酒で温め寝袋へ。しかし、小屋の中まで
気温の下がり方が尋常ではありません。体が温まらず一晩中鼻が詰
まったりして寝られずに過ごしました。

▼【データ】
【所在地】
・群馬県甘楽郡下仁田町と群馬県甘楽郡南牧村、長野県佐久市との
境。上信電鉄下仁田駅の西14キロ。上信電鉄下仁田駅からバス、三
ツ瀬下車、歩いて2時間20分で荒船山とも岩。避難小屋と方位盤が
ある。地形図に艫岩の文字と建物記号のみ記載。付近に何も記載な
し。

【位置】
・【とも岩】緯度経度:北緯36度13分2.02秒、東経138度37分
53.8秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「荒船山(長野)」

【山行】妙義山から岩船山・高津牧場
某年11月23日(水・快晴)荒船山探訪

【参考】
・「神道集」安居院作:東洋文庫94「神道集」貴志正造訳(平凡社)1
994年(平成6)
・「日本歴史地名大系10・群馬」(平凡社)1987年(昭和62)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)
・「荒船山と神津牧場付近」大島亮吉(単行本「山」昭和5年岩波
書店刊):(「日本山岳風土記・4」(宝文館)1960年(昭和35)所収

【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会

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