とよだ 時 「山の伝説伝承」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼282号 「奥秩父・飛竜山の伝説」

【概略】
雲取山から奥秩父・笠取山へ向かうその途中に飛竜山があり、縦走
路わきに飛竜権現の祠がある。飛竜権現は竜神で雨の神。ある時神
は、供物が少ないと暴れはじめたという困ったふもとの丹波山村の
村人は祠を建てて鎮めたという。
・山梨県丹波山村と埼玉県大滝村との境

▼282号 「奥秩父・飛竜山の伝説」

▼山旅漫歩゚【ひとり画展】282号
「奥秩父・飛竜山の伝説」
【本文】
東京都の最高峰・雲取山から奥秩父・笠取山へ向かう縦走路。その
途中に飛竜山(2077m)という山があります。山頂は登山道からはず
れ、ヤブの中を往復45分くらいかけて北側に登ります。

頂上の登っても見晴らしがきかず、三等三角点があるだけです。こ
の山には大洞山という別名があり、地図にも両方の山名が書かれて
います。

江戸時代に書かれた甲斐国四郡の地誌『甲斐国志』に「飛竜権現ノ
社、慶安中ノ鰐口、文明年中ノ棟札アリ。別当宝蔵寺」とあり、ふ
つう飛竜山と呼ばれていますが、秩父側では大洞山といっていて、
飛竜の名は秩父に通用しないそうです。

山の名はふもとでそれぞれの名で呼ばれているのですね。縦走路わ
きには飛竜権現という祠があり、雨をもたらす竜神がまつられてい
ます。

その昔、ふもとの丹波山村に木彫りの飛竜権現のご神体を祭った祠
があったそうです。この神は、村人のお供え物が少ないとヘソを曲
げてしまい、雲を呼び大雨を降らせ風をまきおこし、暴れまくって
木々や草を枯らしてしまったといいます。

恐れ困った村人は、暴れ疲れて大木の股で休んでいる飛竜神にひれ
伏して謝り、供え物を多くすることを約束して大木の根元に祠を建
立、手厚くまつりました。

その後は、神もおとなしくなり、再び暴れることはなくなったとい
う。それがいまある飛竜権現の社のもとで縦走路わきにある祠はそ
の山宮だという伝説が残っています。いま登山者は祠など見向きも
せず先を急ぎます。

お供え物が少ないとヘソを曲げたり、暴れ疲れて休んだり、神さま
にもいろいろな神がいるものですね。

▼飛竜権現の祠【データ】
【所在地】
・山梨県北都留郡丹波山村。JR青梅線奥多摩駅からバス、丹波か
ら歩いて3時間50分で飛竜権現の祠。そのほかは何もなし。地形図
に鳥居の記号のみ記載あり。

【位置】
・飛竜権現祠:北緯35度50分8.81秒、東経138度53分26.75秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「雲取山(甲府)」

【山行】奥秩父三峰・雲取山・雁坂峠縦走
・第2日目:1981年(昭和56)5月4日(月・雨)探訪:1981年(昭
和56)5月3日(日)、4日(月)、5日(火)「三峰口駅・三峰神
社・雲取山・飛竜山・笠取山・雁峠・雁坂峠・塩山駅」:ファミリ
ー山行

【参考】
・「山の憶い出 上・下」(復刻版)小暮理太郎(大修館書店)1975
年(昭和50)
・「角川日本地名大辞典11・埼玉県」小野文雄ほか編(角川書店)1
980年(昭和55)
・「丹波山村教育委員会の手紙」
・「甲斐国志」(松平定能(まさ)編集)1814(文化11年):(「大日
本地誌大系」(雄山閣)1973年(昭和48)所収

【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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