とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼272号 「奥多摩・大岳山と御岳山の神さま」

【序文】140字
奥多摩・大岳山はもともと御岳神社の奥ノ院で修験道の山だったと
いう。しかし、安土桃山時代、御岳神社と大岳神社の同一信仰体は
くずれ、いまは山頂下に大岳神社があって御岳神社とは別々に蔵王
権現をまつっている。
・東京都奥多摩町と檜原村の境

▼272号 「奥多摩・大岳山と御岳山の神さま」

【本文】

奥多摩・大岳山の山の形は神官がかぶる冠のに似た特殊な形をして
いて、遠くからでもひときわよく目立ちます。

『武蔵通誌』(河田羆(かわだ・たけし:1842〜1920)が1894-1895
(明治27〜28)年ごろに著した、巻20からなる私撰地誌)の巻
2「山岳編」に、「両総地方(千葉県)ニテ武蔵ノ鍋冠山ト称シ、
海路ノ目標トナス」とあります(『角川日本地名大辞典・東京』)。

かつては遠く、東京湾で働く漁船のあて(目印)になっていたとい
います。これは相模湾での相州(丹沢)大山と同じ役割を果たして
いたんですね。

大岳山は、奈良金峰山と大峰山の関係と同じようにかつては御岳山
とは一対の山。御岳山の奧のもうひとつの霊山で直下に大岳神社が
あります。

この神社は御岳神社とともに、747(天平19)年に行基が吉野金峰
山の蔵王権現をまつり、吉野の霊場のコピーをつくったのだそうで
す。

中世以降、修験道が盛んになり御岳神社は、御岳蔵王権現、武州金
峰山などと呼ばれ、山岳信仰・修験道の道場になっていきました。
御岳神社のお使いは狼で、両神山の両神神社、三峰神社と同じよう
に大岳神社にも狼の狛犬が建っています。

しかし、安土桃山時代、御岳神社と大岳神社の同一信仰体はくずれ
てしまったのだそうです。そのため、いまでは別々に蔵王権現(役
ノ行者が奈良金峰山で感得した菩薩)をまつっています。

修験道といえば天狗ばなしがつきもの。馬頭刈尾根つづら岩の南に
は天狗の滝があり、また御岳神社奥の院には天狗をまつる祠、天狗
腰掛杉、天狗岩など事欠きません。

▼大岳山【データ】
【所在地】
・東京都奥多摩町と西多摩郡檜原村大字大岳との境。青梅線御獄駅
の南西6キロ。JR青梅線御獄駅からバス、滝本からケーブル、御
岳山駅から歩いて2時間15分で大岳山。二等三角点(高1266.5m)
がある。直下に大岳神社がある。地形図に山名と三角点の標高のみ
記載。三角点より東方向直線約200mに大岳神社がある。

【位置】
・二等三角点:北緯35度45分54.87秒、東経139度07分49.5秒

【地図】
・2万5千分の1地形図:「奥多摩湖(東京)」or「武蔵御岳(東京)」
(2図葉名と重なる)

【山行】
・某年3月29日(木曜日・晴れ)奥多摩・御岳山から大岳山、鋸尾
根、奥多摩駅山行時探訪

【参考】
・『奥多摩風土記』大館勇吉著(武蔵野郷土史研究会)1975年(昭
和50)
・『角川日本地名大辞典13・東京都』北原進(角川書店)1978年(昭
和53年)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『武蔵通誌』(『武蔵通志』とも)河田羆(かわだ・たけし:1842
〜1920)が1894-1895(明治27〜28)年頃に著した、巻20からなる
私撰地誌。

【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会

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