山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼270号「新潟県守門岳・鶴と白タニシ」

【概略】
守門岳の名は鶴が巣ごもりする「巣守岳」がなまった名前だという。
いまも別名巣守岳。大岳北方の大池には白いタニシがいて、干ばつ
の時、里に持ち帰り雨乞いをしたという。もしタニシを殺したりし
たら降りだした大雨がやまなくなるという伝説もある。
・新潟県守門村と入広瀬村、下田村の境

▼270号「新潟県守門岳・鶴と白タニシ」

中越の名峰守門岳(すもんだけ)。その山頂からの眺望はすばらし
く、南は上越の山々、西に戸隠山から妙高山、北に飯豊(いいで)
連峰、朝日連峰、佐渡まで手に取るようです。

守門岳は主峰の袴岳、青雲岳、大岳を中心とした山塊を総称した山
名です。西北山麓の栃尾方面からは大岳が守門岳を象徴する山に見
えるためか、その頂上に巣守神社の祠(ほこら)と石碑をまつって
あります。

守門岳は鶴が巣ごもりをするので巣守り、それが転じて守門(すも
ん)になったという。いまでも別名は巣守岳です。

大岳北方の吉ヶ平近くの大池には白いタニシが棲んでおり、干ばつ
の時これをとって里に持ち帰り雨乞いをしたという。もしタニシを
殺したりしたら降りだした大雨がやまなくなるという伝説もあると
いうから面白い。

守門岳東北直下の鞍掛峠には浅草岳(あさくさだけ)から通じる八
十里越えという道があり、南会津と越後を結ぶ生活物資の重要な輸
送路だったという。

長くて険しいこの道は重い荷物を背負うものにとってはまるで10倍
の道のりに感じられたのでこんな名前がついたのだそうです。

▼【データ】
【所在地】
・新潟県魚沼市(旧北魚沼郡守門村)と同県魚沼市(旧北魚沼郡入広
瀬村)、同県三条市(旧南蒲原郡下田村)の境。JR只見線小出駅から
バス、貫木から6時間で守門岳。二等三角点(1537.3m)がある。その
ほかは何もなし。地形図に山名と三角点の標高のみ記載。付近に何
も記載なし。

【名山】
・深田クラブ選定「日本二百名山」(第127 番):日本百名山以外に
100山を加える・日本三百名山にも含まれる。
・田中澄江選定(1995年)「新・花の百名山」(第32番・花の名前)

【位置】
・【二等三角点】緯度経度:北緯37度23分51.68秒、東経139度08
分11.6秒(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「守門岳(新潟)」。5万分の1地形図「新
潟−守門岳」

【参考】
・「角川日本地名大辞典15・新潟県」(角川書店)1991年(平成3)
・「新編会津風土記」1809年(文化6)年編纂 全120巻:「大日本
地誌大系」花見朔巳校訂(雄山閣)所載

【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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