とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼269号「東北・早池峰薬師岳の薬師堂」

【概略】
にぎやかな早池峰山と対峙する薬師岳。中腹の遠野市に至る横通り
には薬師堂があって薬師如来の石像がまつられている。遠野市小出
集落の佐々木祐蔵と上組丁の川村市郎兵衛の2人が奉納したもの。
いまでも附馬牛町の人たちの篤い信仰を受けている。
・岩手県遠野市と大迫町との境

▼269号「東北・早池峰薬師岳の薬師堂」

▼山岳はがき画【ひとり画展】269号(95・01)
「東北・早池峰薬師岳横通りの薬師堂」

【本文】
ハヤチネウスユキソウなど高山植物の宝庫として有名な岩手県早
池峰山(標高1913.6m)は、シーズンになると花を目的に訪れる
登山でにぎわいます。

しかし、その南、小田越えを隔てて対峙する薬師岳(標高1644.9
m)はほとんど人影もない不遇の山。

薬師岳は遠野市が早池峰山に食い込んでいる境界内にある山で、
遠野市側では薬師岳を前薬師と呼んでいます。

この薬師岳には柳田国男の『遠野物語』に出てくるように天狗の
伝説も登場します。

この山は、その名の通り薬師信仰に由来しています。山頂の南麓
を、小田越えから又一の滝を経て遠野市附馬牛町に至る山道「横
通り」があります。

その途中に薬師堂があって、なかに薬師如来の石の座像がまつら
れています。

これは、遠野市の小出集落の佐々木祐蔵という人と、上組丁の川
村市郎兵衛の2人が奉納したものといい、いまでも附馬牛(つき
もうし)町の人たちの篤い信仰を受けているといいます。

ところで遠野市側では薬師岳を「前薬師」と呼んでいたそうです。
ということは早池峰山が本当の薬師岳に当たるのでしょうか。

それはともかく、このことから早池峰山と薬師岳をセットにして
「薬師岳」と呼び、お山かけ(お参り)をしたらしいという。

かつて薬師岳には石像の権現が祀られていたといいます。また、
ここ薬師岳と早池峰山頂と結ぶ線上にも、神遣権現社(かみわか
れごんげんしゃ)、宿の新山神社、その他の旧跡がならんでいたと
伝えますがいまは見あたりません。

いま薬師堂を通る「横通り」は、人にあまり会わず静かな山歩き
が楽しめます。

★【データ】
【所在地】
・岩手県遠野市と大迫町との境。JR釜石線遠野駅からバス大出、
さらに歩いて5時間で薬師堂。薬師堂のみで、そのほかは何もなし。
地形図に薬師堂の文字と建物記号のみ記載。付近に何も記載なし。

【位置】
・【薬師堂】緯度経度:北緯39度31分34.21秒、東経141度30分
59.62秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「高桧山(盛岡)」

【山行】東北の山縦走
・第8日:1987年(平成1)8月4日(金・晴れ):1987年(平成1)
7月28日(金)〜8月6日(日)「上野駅・盛岡駅・八幡平頂上バス
停・八幡平・もっこ岳・岩手山・雫石駅・田沢湖駅・秋田駒ヶ岳・
千沼ヶ原・烏帽子岳・田代岱・乳頭温泉・田沢湖駅・盛岡駅・早池
峰山・薬師岳・薬師堂・又一の滝・遠野駅・花巻駅・上野駅」:家
内と縦走

【参考】
・『角川日本地名大辞典3・岩手県』高橋富雄ほか編(角川書店)1
985年(昭和60)
・『郷土資料事典・岩手県』ふるさとの文化遺産(人文社)

【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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