とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼232号「群馬・上州武尊ショウジョウバカマ」

【概略】
上州武尊山の名は日本武尊の伝説からきているという。さっきまで
尾根の上のショウジョウバカマの赤いあざやかな花を眺めていたの
に、突然のかみなり。まだ深く積もった雪の中の虫が湧くような避
難小屋にとじこめられ、一晩中脅かされた。
・群馬県みなかみ町

▼232号「群馬・上州武尊ショウジョウバカマ」

群馬県の上州武尊(ほたか)山(2518m)は、日本武尊(やまとたけ
るのみこと)の伝説からきており、そのせいか、武尊の銅像や神社
があちこちにあります。

水上駅からバスで、宝川温泉手前の武尊橋で降りたのは5月下旬の
ことでした。林道を歩くころは気候も快適で、途中スキー場ではワ
ラビとりに夢中になるしまつ。

林道も終わりゲートを越すころは天気の変わり目なのかむし熱くな
ってきました。枝尾根の上でショウジョウバカマを発見。地面に広
げた根生葉から伸びた花茎の先に赤いあざやかな花がよく目立って
います。

途中、ギョウジャニンニクやヤマラッキョウなどが生えて、わざわ
ざ名札がつけてありました。やがて尾根にとりつき、しばらく歩く
と左手下に手小屋沢(てこやざわ)避難小屋があらわれました。

避難小屋についたころはにわかに曇り、雷が鳴りはじめました。小
屋のまわりはまだ深い雪が積もっています。それでも日当たりよい
斜面には、すでに花が咲いてしまったフキノトウがたくさん生えて
います。

こわれた扉を開け、汚い小屋の中に入ります。なにか虫でもわいて
いそうな感じで、背中がかゆくなるありさま。とりあえずテントを
張って中に入れば虫も来ないだろうともぐり込みます。

「ゴロゴロゴロ」。そらきた。早めに小屋についてよかった。コン
ロでなんとか豚汁にありつき、腹ごしらえの間も雷鳴がおなかに響
いています。

ここは谷間の避難小屋、まず落雷は心配ないはず。お腹の皮が張れ
ば目の皮がたるみます。一晩中ゴロゴロ騒ぐ雷鳴を聞きながらグッ
スリと眠らせてもらったのでありました。小屋はいまはないという。

▼【データ】
【所在地】
・群馬県利根郡みなかみ町(旧利根郡水上町)。JR上越線水上駅
からバス武尊橋停下車歩いて3時間半で手小屋沢避難小屋。そのほ
かは何もなし。地形図に避難小屋の文字のに記載。付近に何も記載
なし。

【位置】
・【手小屋沢避難小屋】緯度経度:北緯36度48分50.25秒、東経139
度07分14.82秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から
検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図:「藤原湖(日光)」or「鎌田(日光)」(2図
葉名と重なる)。

【山行】上州武尊山・沖武尊山・前武尊
・第1日目:1992年(平成4)5月23日(土・晴れ、霧・雷・大雷)
探訪:1992年(平成4)5月23日(土)〜24日(日)「上野駅・水
上駅・穂高橋バス停・武尊神社・手小屋沢避難小屋(泊)・奥武尊
山・前武尊・武尊温泉・川場温泉口バス停・沼田駅・高崎駅・上野
駅」:家内と同行

【参考】
・「角川日本地名大辞典10・群馬県」井上定幸ほか編(角川書店)
1988年(昭和63)
・「コンサイス日本山名辞典」(三省堂)1979年(昭和54)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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