とよた 時・山岳ゆ-もぁ画
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼224号 「長野県・霧ヶ峰のヤナギラン」

【概略】
江戸時代の絵図にすでに記載されている霧ヶ峰高原。近世以降地元
市町村の牧場、採草地として、第二次大戦直後まで野火がつけられ
たという。それが幸いしてか、いまではヤナギラン、ニッコウキス
ゲなど数百種もの植物が茂っています。
・長野県諏訪市と茅野市

▼224号 「長野県・霧ヶ峰のヤナギラン」

▼山旅漫歩゚【ひとり画展】224号
「長野県・霧ヶ峰のヤナギラン」
【本文】
長野県の中央部にある霧ヶ峰高原。地名はそのまんま、霧が多く発
生するからだという。最高峰の車山を中心に標高1600〜1800m、東
西10キロ、南北16キロ(約3000ヘクタール)もの大草原です。

北西山麓には旧御射山(もとみさやま)遺跡があり、旧石器時代以
降の遺跡だという。ここは鎌倉時代の武士たちが狩猟を競い合った
ところということです。霧ヶ峰の名の記録は、江戸時代後期の『信
濃国一円並筑摩郡五千石之絵図』。すでにその名が記載されている
そうです。

さて、この霧ヶ峰高原の広大な草原をめぐっては長い間、境界論争
や入会権論争が絶えなかったという。なかでも江戸前半期の元禄6
(1693)年から9年にかけて、上桑原村と北大塩村(現茅野市)と
は論争がつづいたそうです。長い論争には莫大な費用もかかります。
これらの村では費用を捻出するため、縄をなって草履をつくり、そ
れを売ることまでしたというエピソードもあります。

一方、江戸時代以降、この高原一帯は牧場・採草地として活用され、
融雪期には野火がつけられるようになり第2次大戦直後までつづい
たということです。当然むやみな立ち入りは禁止。観光地としては
見向きもされませんでした。いま高原一帯にはヤナギランなど数百
種もの植物が茂っているのは、それら、野火(冬を越した害虫の焼
死、灰が肥料になり、芽生えの助けにもなる)や人がむやみに入ら
ないことが幸いしているためもあるという。

とくにニッコウキスゲの大群落は高原の名物で、一時よりは少なく
なってきてはいるものの保護運動が効をなし、また増えだしている
という。見ごろの7月中旬から下旬にかけては壮観です。

この高原の起伏の低地にある八島池・鎌ヶ池などは高層湿原地帯と
して有名で、ここには湿原植物群落がたくさんあります。とくにミ
ズゴケ類が多く繁茂する八島ヶ原湿原・車山湿原などは、むしろ尾
瀬よりも学術的に貴重なものとともいわれており、国指定の天然記
念物に指定されています。

霧ヶ峰が開発されでしたのは1933年(昭和8)、グライダー練習場
が開かれました。またスキー場も開発されます。このような部分的
な開発で人の交流も増え、新しく強清水集落が生まれたということ
です。

霧ヶ峰は初めてのファミリー山行の地です。4歳と6歳の幼児を連
れての2泊3日の高湿原歩き。見渡す限りの広い空。背丈を超すひ
ときわ大きなヤナギランの花の中をめぐりながら子どもたちもそれ
なりに感激しているようでした。

あれからン十年の歳月がアッという間に流れ、いまではそれぞれに
家庭を持つようになりました。いま、少しは心の隅にでも残してく
れているでしょうか。
アカバナ科アカバナ属の多年草

▼【データ】

【所在地】
・長野県諏訪市と同県茅野市、同県諏訪郡下諏訪町下諏訪町との境。
中央本線上諏訪駅の北東10キロ。JR中央本線上諏訪駅からバス
霧ヶ峰最高峰車山。二等三角点(停止【再設】)(1925.0m)がある。
地形図に山名と三角点の標高の記載あり。

【位置】
・三角点:(標高1925.0m、二等三角点)。【緯度経度】北緯36度06
分10.78秒、東経138度11分47.76秒(電子国土ポータルWebシス
テムから検索)

【基準点の詳細】
・基準点:(基準点コード:TR25438111501)(点名:車沢)(冠字
選点番号:志 1)(種別等級:二等三角点)(基準点成果状態:停
止【再設】)(測地系:記載なし)(緯度経度:記載なし)(標高:記
載なし)(基準点現況状態:不明)(所在地:記載なし)(点の記図
閲覧:記載なし)。(国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から
検索)

・【点の記】
・閲覧不能

【地図】
・2万5千分の1地形図「霧ヶ峰(長野)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)。5万分の1地形図「諏訪−長野」(国土地理
院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

【山行】霧ヶ峰から白樺湖
・第1日目:1976年(昭和51)8月23日(晴れ)探訪:1976年(昭
和51)8月23日〜25日「上諏訪駅・八島湿原・沢度・車山・白樺湖
・湖月荘・茅野駅・新宿駅」:ファミリー山行

【参考文献】
・「角川日本地名大辞典20・長野県の地名」市川健夫ほか編(角川
書店)1990年(平成2)
・「山岳宗教史研究叢書・9」(富士・御嶽と中部霊山)鈴木昭英編
(名著出版)1978年(昭和53年)
・「山岳宗教史研究叢書16・修験道の伝承文化」五記重編 (名著
出版)1981年(昭和56)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本歴史地名大系20・長野県の地名」(平凡社)1979年(昭和54)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画通信】
題名一覧へ戻る