とよた 時・山岳ゆ-もぁ画
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼220号 「北八ツ・デーランボウと中山峠のフシグロセンノウ」

【概略】
その昔、蓼科山を基地にした巨人デーランボウと、八ヶ岳の守り神
磐長姫(いわながひめ)、富士山の木花開耶姫姉妹が激烈な戦いを
演じたという中山峠。ミドリ池へ下る途中、ひときわ目立つフシグ
ロセンノウが草いきれのなかに咲いていました。
・長野県茅野市と小海町との境

▼220号 「北八ツ・デーランボウと中山峠のフシグロセンノウ」

長野県の八ヶ岳は、南八ヶ岳と北八ヶ岳に分けて呼んでいます。そ
の境にあたる中山峠は、すぐ近くに黒百合平があり、ヒュッテの前
はテント場になっています。

その昔、浅間山に住んでいた巨人デーランボウ(地方によりデーデ
ッポー・大太法師・ダイダラ坊・デーデッポー・デーダンボウなど
と呼ばれる)がだんだん勢力を伸ばし、南にある八ヶ岳全体を自分
の配下におこうとやってきました。

デーランボウは蓼科山(たてしなやま)付近に巨大は足跡をしるし
(双子池、雨池、白駒の池などは足跡だという)、天狗岳に近づい
てきました。

そうはさせじと八ヶ岳の守り神にあたる磐長姫(いわながひめ)。
その妹にあたる富士山の木花開耶姫(このはなさくやひめ)に応援
を頼みます。

デーランボウと2姫は、中山峠をはさんで激烈な戦いを演じたとい
う。姫たちの反撃で巨人は退却しましたが磐長姫も深い手傷を負い、
鮮血が地面に落ちてクロユリの花になったという伝説があります。

8月上旬、蓼科山から北横岳を通り中山峠から黒百合平と反対の東
側稲子湯に向かいました。峠からすぐ急坂を下ります。先頭を行く
息子の前にリスが時々姿を見せてくれます。

むせるような草いきれの中、ミドリ池に出る手前でひときわ目立つ
フシグロセンノウ。朱赤色の大きな花が印象的でした。

フシグロセンノウはナデシコ科センノウ属の多年草。漢字で「節黒
仙翁」、節の色にちなんでつけられた名前です。別名をフシといい
ますが、これも節の太いことによるそうです。センノウとは、同じ
ナデシコ科の別の花。

京都の仙翁寺(せんおうじ)で見つけた花だそうです。つまり、節の
黒いセンノウに似た花という意味らしいです。

▼【データ】
【山名】
・【異名、由来】:その地方を取り巻く山なみの中にある峠。またそ
の山なみの中で中心をなす峠(「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫
・竹書房)

【所在地】
・長野県茅野市と長野県南佐久郡小海町との境。JR松原湖駅の南
西10キロ。小海線松原湖駅からバス、稲子湯下車、さらに歩いて4
時間半で中山峠。地形図に峠名のみ記載。中山峠より西北方向251
mに黒百合ヒュッテがある。付近に何も記載なし。

【位置】
・【中山峠】緯度経度:北緯36度01分41秒、東経138度21分34
秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「蓼科(長野)」(国土地理院「地図閲覧サ
ービス」から検索)。

【山行】北八ツ岳縦走・飯森山
・第4日目:1979年(昭和54)8月2日(木・くもり)探訪:1079
(昭和54)7月30日(月)〜8月3日(金)「新宿駅・茅野駅・竜源橋
・大河原峠・双子池・横岳・坪庭・縞枯山・茶臼山・麦草峠・白駒
池・高見石小屋・中山峠・黒百合平・稲子湯・小海駅・野辺山駅・
飯森山・小淵沢駅・新宿駅」:

【参考】
・「アルパインガイド34」(八ヶ岳・北八ヶ岳)(山と渓谷社)1979
年(昭和54)版
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画通信】
題名一覧へ戻る